全サービスを同一条件で実測した比較ではありません
本文の最終更新: 2026年4月
検証: AIツール図鑑編集部(AI自動化・ツール実運用 / 料金・規約は公式資料で確認)
録音は残っているのに文字起こしが追いつかない、という悩みは会議や取材を重ねるほど深くなります。少し前まで、文字起こしは速記者に依頼するかキーボードで打ち直すかの二択でした。2026年現在はAIによる音声認識の精度が上がり、選択肢も一気に広がっています。
ただし精度が高ければそれで十分というわけではありません。会議なら自動で通話に参加するボット機能が欲しくなり、取材なら誰の発言かを振り分ける話者分離が要になります。講義やポッドキャストの編集であれば要約の自動生成まで求めるでしょう。何を文字起こしするかで、最適なツールはまったく変わってきます。
この記事では、2026年6月時点で実際に使える主要なAI文字起こしツール7つを、日本語の認識精度・料金・話者分離・要約・会議連携・得意な用途の観点で比較します。料金や無料枠は変動が激しい領域なので、各ツールの公式情報を確認したうえで時点を明記しています。会議・取材・講義・個人メモという用途別の選び分けまで整理したので、ご自身の業務に合う1本を絞り込む材料にしてください。AIツールを目的別に絞り込む進め方は、対話AIを比較したPerplexityとChatGPTの比較でも同じ考え方を使っています。
AI文字起こしツールを選ぶときの着眼点
具体的なツール紹介に入る前に、見るべきポイントを先に整理します。数が多いだけに、軸を持たずに片端から試すと時間ばかり消えていきます。
日本語の認識精度
英語で高精度でも、日本語では別物というケースは珍しくありません。特に専門用語や固有名詞が多い会議では、日本語向けのチューニングがあるかどうかで結果が大きく変わります。無料枠やトライアルがあるツールなら、実際の会議音声を流して比べるのが一番確実です。Whisperの研究論文では、多言語データで学習させることで日本語を含む非英語の認識精度が大きく改善した経緯が報告されています。
話者分離(スピーカー識別)
複数人が参加する会議やインタビューでは、誰がどの発言をしたかを正しく振り分ける話者分離が要になります。この精度はツールごとの差が大きく、特に日本語では英語より分離精度が落ちやすいのが実情です。話者分離アルゴリズムの代表例である pyannote.audio はオープンソースで公開されており、商用サービスの内部処理に採用されている例もあります。
Web会議ツールとの連携
Zoom・Microsoft Teams・Google Meetとの連携がスムーズかどうかも判断材料になります。ボットが自動で会議に参加して録音から文字起こしまで完了させるタイプと、録音ファイルを手動でアップロードするタイプとでは、日々の手間がまったくの別物です。Google CalendarやOutlookとカレンダー連携できるサービスでは、予定された会議へボットを自動で割り当てる運用が広がっており、初回設定さえ済めばほぼノータッチで議事録生成まで進みます。AIエージェントを使った会議運用の自動化については、ClaudeとZapier・MCPを連携させた自動化の考え方も参考になります。
出力形式と後処理
文字起こししたテキストをそのまま使う場面は意外と少なく、多くは要約・議事録化・字幕ファイル(SRT)への変換といった後処理が続くのが実情です。AI要約を内蔵したツールを選べば、この工程を丸ごと省けます。動画字幕が目的なら、タイムスタンプ付きのSRT/VTT形式に対応しているかも確認しておきたいところです。WordやNotionへ直接書き出せるかどうかも、議事録を共有するワークフローを組むうえで効いてきます。NotebookLMのような別系統のツールに音声や文字起こしを渡して整理する手もあり、用途次第でNotebookLMによる議事録の活用と組み合わせると守備範囲が広がります。
料金体系とコストパフォーマンス
月額固定なのか、従量課金(分単位)なのかで、利用頻度によるコスト感は大きく変わります。週に数回の定例会議で使うなら月額制が有利で、月に1〜2回なら従量課金や少額プランのほうが割安になることが多いです。法人で複数アカウントを購入する場合は、利用者ごとのライセンス単価より「録音時間プール制」を採るサービスのほうが、部署単位の運用コストを抑えやすいこともあります。
主要AI文字起こしツール7選の比較一覧
まず全体像をつかむため、7ツールの主要スペックを一覧にします。料金・無料枠は2026年6月時点で各公式が公表している内容に基づきますが、改定が多い領域なので導入前に最新の公式ページで確認してください。
| ツール名 | 日本語対応 | 無料枠 | 有料プラン(2026年6月時点) | 話者分離 | Web会議連携 | AI要約 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Notta | 日本語向けに最適化 | 月120分(1回3分まで) | プレミアム 月額1,185円〜(年払い) | 対応(無料にも表示・実用は有料) | Zoom/Teams/Meet ボット参加 | 対応 |
| LINE WORKS AiNote (旧CLOVA Note) |
日本語向けに最適化 | 月300分(1回60分まで) | ソロ 月額1,440円〜(年払い) | 対応(自動話者認識は企業向け) | Zoom/Teams/Webex/Meet 録音 | 対応(有料プラン) |
| Rimo Voice | 日本語向けに最適化 | トライアルあり | 文字起こしプラン 月額1,650円〜 | 対応 | Proプランでボット録音 | 対応 |
| Otter.ai | 日本語対応あり(英語中心の実績) | 月300分(1回30分まで) | Pro 月額8.33ドル〜(年払い) | 対応 | Zoom/Teams/Meet ボット参加 | 対応 |
| Fireflies.ai | 多言語対応(日本語可) | 無料プランあり | Pro 月額10ドル〜(年払い) | 対応 | Zoom/Teams/Meet 他多数 | 対応 |
| tl;dv | 多言語対応(日本語可) | 録画・文字起こし無制限 | Pro 月額18ドル〜(年払い) | 対応 | Zoom/Teams/Meet | 無料は最初の10会議のみ全文要約 |
| OpenAI Whisper | 多言語対応(日本語可) | OSSは無料(自前環境) | API利用は分単位の従量課金 | 単体では非対応 | なし | なし |
次のセクションから、各ツールの特徴と向いている用途を掘り下げます。
各ツールの詳細と特徴
Notta — 日本語の会議文字起こしで有力な選択肢
Nottaは日本市場に力を入れているAI文字起こしツールです。日本語の音声認識精度が高いと評価されており、ビジネス用語やカタカナ語の認識にも対応します。
Zoom・Teams・Google Meetへのボット自動参加に対応しているため、会議のURLを登録しておけば録音から文字起こし、AI要約まで自動で流れます。リアルタイム文字起こしも備えており、会議中に画面でテキストを確認しながら議論を進められるのは実務で効いてくる利点です。
料金は2026年6月時点で、個人向けのプレミアムプランが年払いで月額1,185円(月払いは月額1,980円)、月1,800分(30時間)・1回あたり最大5時間まで文字起こしできます。チーム向けのビジネスプランは年払いで1ユーザー月額2,508円〜で、文字起こしは無制限です。話者識別は無料プランの機能欄にも掲載されていますが、無料は1回3分・月120分の制限があるため、実用上は有料プランが前提になります。
向いている用途: 日本語の社内会議、クライアントとのミーティング、オンライン商談
LINE WORKS AiNote(旧CLOVA Note) — スマホ録音から会議連携まで
かつて「CLOVA Note」として親しまれた日本語向けの文字起こしツールは、2025年7月31日にβ版の提供を終え、後継の「LINE WORKS AiNote」へ移行しました。旧CLOVA Noteのアプリやデータをそのまま使い続けることはできないため、現在から導入を検討する場合はLINE WORKS AiNoteが対象になります。この点は古い比較記事の情報が残りやすいので注意が必要です。
LINE WORKS AiNoteは日本語の認識精度に定評があり、スマホアプリで端末のマイクから直接録音し、そのまま文字起こしできる手軽さを引き継いでいます。専用のICレコーダーがなくてもスマホ一台で対面の会議やセミナーを記録できる点は変わりません。
旧CLOVA NoteからWeb会議への対応が広がったのが大きな違いです。LINE WORKS AiNoteはZoom・Teams・Webex・Google Meet・LINE WORKSの会議録音に対応しています。「話者分離」と「自動話者認識」は分けて理解しておくと混乱しません。発言者ごとに区切る話者分離は基本機能として案内されており、国際的な話者分離コンペティション DIHARD3〔2021年〕で3位という実績も公表されています。一方、声の特徴から話者名を自動で反映する自動話者認識は、2026年4月に追加された企業向けプラン(チーム/ビジネス/エンタープライズ)の機能です(2026年6月時点。無料プランでは話者識別が無効)。AI要約もプラン内の回数の範囲で利用できます。
料金は2026年6月時点で、フリープランが月300分・1回60分までで無料(ただし話者識別とAI要約は無効)。個人向けのソロプランは年払いで月額1,440円(月払いは月額1,600円)、月600分・1回180分まで、AI要約は月12回まで利用できます。フリープランはアップロードした音声が学習データに使われる扱いで、ソロ以上のプランでは学習利用なしとされています。機密性の高い音声を扱うなら、無料枠だけで判断せず有料プランの条件を確認しておくのが安全です。
向いている用途: 対面会議、セミナー・講演の録音、日本語中心のWeb会議
Rimo Voice — 日本語の要約品質を重視するなら
Rimo Voiceは国産のAI文字起こしサービスです。かつては30秒あたりの従量課金が中心でしたが、料金体系は見直され、2026年6月時点では月額の定額プランが軸になっています。文字起こしプランが月額1,650円(税込)で月2,100分まで、Proプランが月額4,950円(税込)で文字起こし無制限・ボットによる録音・AI要約・毎月1,000クレジット付きという構成です。チームプランは月額6,600円(税込)で共同作業機能が加わり、11アカウント以上の法人プランは要見積もりでSSOやIP制限などのセキュリティに対応します。クレジットカード登録なしで試せる無料トライアルも用意されています。
音声をアップロードすると文字起こしと同時にAI要約も生成されます。日本語に最適化された要約が評価されており、長時間の会議でも要点をまとめてくれると報告されています。ボット録音はProプラン以上で使える点に注意してください。
向いている用途: 長時間インタビューの書き起こし、日本語の議事録の一括作成、要約品質を重視する会議記録
Otter.ai — 英語の文字起こしに強み
Otter.aiは英語圏で広く使われている文字起こしツールです。英語の認識精度が高いと評価されており、Zoom・Teams・Meetへのボット参加に加え、リアルタイム文字起こし、自動要約、アクションアイテム抽出まで一通り揃っています。
料金は2026年6月時点で、無料のBasicプランが月300分・1回30分まで(音声・動画ファイルのインポートは生涯3回まで)。個人向けのProプランは月額16.99ドル(年払いで月額8.33ドル)で月1,200分の録音に対応します。チーム向けのBusinessプランは月額30ドル(年払いで月額19.99ドル)で会議数が無制限、1回あたりの上限が4時間に広がります。Enterpriseは個別見積もりで、SSOやSCIM、APIアクセスなどが加わります。
Otter.aiは公式には日本語を含む複数言語の文字起こしに対応しています。ただし英語圏での利用実績が強いツールのため、日本語会議を主用途にする場合は、NottaやLINE WORKS AiNoteと同じ音声で精度を比較してから判断するのが安全です。英語の会議やインタビュー、海外チームとのミーティング、英語音声コンテンツの編集では有力な選択肢になります。
向いている用途: 英語の会議・インタビュー、海外チームとのミーティング、英語音声コンテンツの文字起こし
Fireflies.ai — CRM・プロジェクト管理との連携が光る
Fireflies.aiの強みは、文字起こしの先にある情報活用にあります。Salesforce・HubSpot・Notion・Slack・Asanaなど多数の外部サービスと連携でき、会議の文字起こし結果や要約をCRMの商談メモやプロジェクト管理ツールへ自動で反映できます。会議内容からアクションアイテムを自動抽出したり、過去の会議をキーワードで検索したりする機能も充実しています。
料金は2026年6月時点で、無料プランは0ドルで保存容量400分/teamまで。Proプランは年払いで月額10ドル・保存8,000分/seat、Businessプランは年払いで月額19ドルで保存無制限、Enterpriseは年払いで1ユーザー月額39ドルです。なおAIクレジットやAskFred(AIアシスタント)など一部AI機能の利用条件はプランにより異なるため、最新の公式料金表で確認してください。
日本語にも対応していますが、精度はNottaやLINE WORKS AiNoteと比べるとやや譲ります。その分、会議の記録を組織として活用したい営業チームやカスタマーサクセスで真価を発揮します。業務自動化のワークフローツールと組み合わせると効果が一段と高まります。
向いている用途: 営業会議のCRM連携、チーム横断の会議情報管理、プロジェクト進捗の自動記録
tl;dv — 会議動画のクリップ共有で「見せる議事録」を実現
tl;dvは会議の録画と文字起こしを同時に行い、重要な発言箇所にタイムスタンプ付きのクリップを作れるのが特徴です。テキストだけの議事録では伝わりにくいニュアンスや温度感を、動画クリップで共有できる点が他のツールとの違いです。
無料プランでも録画と文字起こしが無制限で、30以上の言語に対応するのは大きな利点です。ただし無料プランにはいくつか制限があります。2026年6月時点では、録画は3か月後に自動削除され、AI要約は最初の10会議のみ全文生成され、それ以降は各会議の最初の10分のみになります(AIへの質問機能 Ask AI は生涯10回)。連携も基本的なもの(Slack・メール・カレンダー)に限られ、週40録画・1回3時間という上限もあります。Proプランは割引適用時で年払い1ユーザー月額18ドル前後(標準価格や月払いは変動が大きいため公式で確認)で、カスタムAIプロンプトやCRM連携、無制限のAI要約が加わります。Businessプランは年払いで1ユーザー月額59ドル前後で、チーム横断の分析やSSOなどが付きます。日本語の認識精度も、実用レベルに達しているとの評価です。
向いている用途: ユーザーインタビューの分析、デザイン確認、採用面接の振り返り共有
OpenAI Whisper — 技術力があるなら高いコスパ
OpenAIのWhisperは、他の6ツールとは性質が異なります。SaaSではなく、MITライセンスで公開されたオープンソースの音声認識モデルであり、自前の環境にデプロイすれば利用料は実質無料になります。日本語を含む多言語に対応し、認識精度も商用ツールと遜色ない水準とされています。最新世代では large-v3 に加え、精度の低下を最小限に抑えつつ処理を高速化した turbo モデルも提供されています。
Whisper is trained on 680,000 hours of multilingual and multitask supervised data collected from the web, allowing it to handle a wide variety of accents, background noise, and technical language.(OpenAI Whisper README より)
ただしWhisper単体にはリアルタイム文字起こし、話者分離、要約は含まれません。これらが必要な場合は、話者分離用の別ツール(前述の pyannote.audio など)やAPI経由での要約処理を組み合わせる必要があります。セットアップにはPythonの知識が求められるため、エンジニアのいないチームにはハードルが高めです。実装の手を借りるならGitHub Copilotの導入のようなコーディング支援を使うと、連携部分のスクリプトを書く負担を減らせます。
自前運用ではなくAPIとして使う選択肢もあります。2026年6月時点でOpenAIは音声文字起こしモデルを分単位で課金しており、gpt-4o-transcribe が1分あたり0.006ドル、より安価な gpt-4o-mini-transcribe が1分あたり0.003ドルです。従来の whisper-1 系も利用できますが、料金体系は変わりうるため最新の公式Pricingで確認してください。大量の音声を定常的に処理する業務であれば、自前GPUを持たなくてもコストを抑えられる可能性があります。APIを呼び出す処理を書く段では、AIコーディングツールの比較で扱った開発支援ツールが役立ちます。生成したコードをそのまま採用してよいかは、Claude CodeとOpenAI Codexの比較のようにエージェントの挙動を見比べてから判断すると安全です。
向いている用途: 大量音声の一括処理、自社プロダクトへの組み込み、字幕生成やカスタマイズが必要な特殊用途
用途別の選び分け
同じ「文字起こし」でも、会議・取材・講義・個人メモでは求める機能が違います。用途ごとに、どこを優先すべきかを整理します。
会議 — 自動参加と要約の手離れを優先
定例会議やオンライン商談では、ボットが自動で参加して録音・文字起こし・要約まで完了する手離れの良さが効きます。日本語の社内会議が中心なら、Nottaを最初に試すのが効率的です。Zoom・Teams・Meetへのボット参加に対応し、要約まで自動化できます。日本語に強くスマホ録音から入りたいならLINE WORKS AiNoteも候補で、Web会議の録音にも対応します。営業会議のように記録をCRMへ流し込みたいならFireflies.aiが噛み合います。英語の会議や海外チームとのミーティングが多い場合はOtter.aiが有力です。
取材・インタビュー — 話者分離と長時間処理を優先
取材やユーザーインタビューでは、誰の発言かを正しく振り分ける話者分離と、長時間音声を安定して処理できるかが要になります。日本語の長時間インタビューを書き起こすなら、要約品質に定評のあるRimo Voiceが向いています。発言のニュアンスを動画クリップで共有したいユーザーインタビューや採用面接では、tl;dvの「見せる議事録」が活きます。フィールドワークでスマホ録音した取材音声は、LINE WORKS AiNoteで手早く文字に起こせます。
講義・セミナー — 録音の手軽さと精度を優先
対面のセミナーや講演、講義の記録では、専用機材なしで手軽に録音でき、日本語の精度が安定しているかが重要です。スマホ一台で録音から文字起こしまで完結するLINE WORKS AiNoteが向いています。長時間の講演をまとめて書き起こしたい場合はRimo Voiceも選択肢になります。一方で、ボットによるWeb会議参加が主機能のtl;dvは、対面の録音用途には噛み合いません。
個人メモ・大量処理 — コストと自由度を優先
個人のメモや音声日記、あるいは大量の音声をバッチ処理して字幕を生成するような用途では、コストと自由度が決め手になります。無料枠で日本語の音声メモを試すならLINE WORKS AiNoteのフリープランやNottaの無料枠から。大量の音声を一括処理したり字幕(SRT/VTT)を生成したりするなら、OpenAI Whisperを自前環境で動かすのが合理的です。自社プロダクトへ組み込む場合も、カスタマイズの自由度からWhisperが第一候補になります。
用途別おすすめツール早見表
用途と適性ツールの対応を表にまとめると、選定の見通しがよくなります。最適候補・次点候補に加えて、その用途には噛み合わないツールも併記しました。
| 用途 | 最適候補 | 次点候補 | 不向きなツール |
|---|---|---|---|
| 日本語の社内会議・定例MTG | Notta | LINE WORKS AiNote | Otter.ai |
| 対面セミナー・講演の録音 | LINE WORKS AiNote | Rimo Voice | tl;dv |
| 英語の会議・海外チームMTG | Otter.ai | Fireflies.ai | LINE WORKS AiNote |
| 営業会議のCRM自動連携 | Fireflies.ai | Notta | LINE WORKS AiNote |
| ユーザーインタビュー分析・採用面接 | tl;dv | Notta | Whisper(単体) |
| 長時間インタビューの書き起こし | Rimo Voice | LINE WORKS AiNote | tl;dv |
| 大量音声のバッチ処理・字幕生成 | OpenAI Whisper | Rimo Voice | Otter.ai |
| 自社プロダクトへの組み込み | OpenAI Whisper | — | SaaS型ツール全般 |
導入前に確認しておきたいセキュリティの観点
文字起こしツールには、社内の機密情報を含む音声をアップロードすることになります。導入にあたっては次の点を確認しておくと安全です。
データの保存先と暗号化: 音声や文字起こし結果がどこのサーバーに保存され、どのレベルの暗号化が施されているか。海外サービスではデータの保管場所が日本国外になる場合もあります。
学習データへの利用有無: アップロードした音声がAIモデルの学習に使われるかどうかは、多くの法人が気にする点です。前述のとおりLINE WORKS AiNoteはフリープランで学習利用ありとされ、ソロ以上では学習利用なしとされています。プランによって扱いが変わるため、無料枠の条件をそのまま有料プランに当てはめないよう注意してください。
情報セキュリティ認証の取得状況: 情報セキュリティに厳格な企業では、ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)やSOC 2 Type IIの認証取得が選定条件になることもあります。各ツールの最新の取得状況は、公式サイトのセキュリティページで確認するのが確実です。
個人情報保護法・GDPRへの準拠: 顧客情報や取材音声を扱う場合、日本の個人情報保護法に加え、EU圏のユーザーが関与する音声であればGDPR(一般データ保護規則)への準拠も論点になります。利用規約やデータ処理契約(DPA)の有無を、事前に法務部門と確認しておくと安心です。
自社のセキュリティポリシーに照らして、導入前に情報システム部門と連携しておくのが無難でしょう。
まとめ
AI文字起こしツールは、精度さえ高ければよいという段階を過ぎ、会議連携・要約・外部サービス統合まで含めた総合力で選ぶフェーズに入っています。
日本語の会議を中心に使うなら、NottaかLINE WORKS AiNoteを最初に試すのが効率的です。英語中心ならOtter.aiが有力で、営業やカスタマーサクセスのように組織的な活用を見据えるならFireflies.aiが候補に上がります。長時間の取材音声を日本語の高い要約品質で処理したいならRimo Voiceが合います。エンジニアのリソースを確保できるならOpenAI Whisperで内製する選択もあり、字幕生成や自社プロダクトへの組み込みで特に強みを発揮します。
料金や無料枠は2026年6月時点の各公式の公表値に基づいていますが、この分野は改定が頻繁です。導入前に最新の公式ページを確認したうえで、まずは無料枠やトライアルで自社の会議音声を実際に処理し、精度と使い勝手を肌で確かめることをおすすめします。AI同士の比較で迷ったときは、AIフレームワークの比較のように軸を決めて並べる進め方が役立ちます。
よくある質問
Q: AI文字起こしツールの精度はどれくらいですか?
A: 英語では高い認識精度を出すツールが主流です。日本語はツールによって差があり、NottaやLINE WORKS AiNoteなど日本語に最適化されたサービスでは実用上十分な精度を得られるとされています。専門用語が多い音声や、複数人が同時に話す場面では精度が落ちる傾向があるため、重要な文書に使う場合は人間によるチェックを挟むのが現実的です。
Q: 無料で使えるAI文字起こしツールはありますか?
A: 複数のツールが無料枠を提供しています。2026年6月時点で、LINE WORKS AiNoteは月300分、Nottaは月120分まで無料で利用でき、tl;dvは無料プランでも録画と文字起こしが無制限です(ただしAI要約は最初の10会議のみ全文、以降は各会議の最初の10分のみなどの制限あり)。技術的なスキルがあれば、OpenAI Whisperをローカル環境で動かすことで費用をかけずに利用できます。
Q: かつてのCLOVA Noteは今も使えますか?
A: CLOVA Noteのβ版は2025年7月31日に提供を終了し、後継の「LINE WORKS AiNote」へ移行しました。旧CLOVA Noteのアプリやデータをそのまま使い続けることはできないため、現在から導入する場合はLINE WORKS AiNoteが対象になります。日本語の文字起こし精度や手軽さは引き継ぎつつ、Web会議の録音にも対応しています。
Q: ZoomやTeamsの会議を自動で文字起こしする方法は?
A: 2026年6月時点で、Notta・Otter.ai・Fireflies.ai・tl;dvはZoom・Teams・Google Meetに対応したボット機能を備えています。カレンダーと連携させておけば、予定された会議にボットが自動参加し、録音・文字起こし・要約まで人手を介さず完了します。初回のみカレンダー連携の設定が必要ですが、以降は自動で運用できます。
Q: 文字起こしツールのセキュリティは大丈夫ですか?
A: エンタープライズ向けプランを提供するツールでは、データの暗号化や保存ポリシーを明確に開示しているものが多いです。一方で無料プランではデータがAI学習に利用される場合があり、たとえばLINE WORKS AiNoteのフリープランは学習利用ありとされています。機密性の高い音声を扱う場合は、有料プランや各社のセキュリティポリシーを事前に確認することが望ましいです。
Q: 日本語と英語が混在する会議ではどのツールがおすすめですか?
A: 日英が混在する会議では、日本語に強く多言語にも対応するNottaが扱いやすいとされます。言語の自動検出を備えており、会議中に日本語と英語が切り替わっても比較的正確にテキスト化できるとの報告があります。Fireflies.aiやtl;dvも多言語に対応しますが、切り替わりが頻繁な場合はNottaのほうが安定した結果になりやすいとされています。
Q: 動画字幕用のSRTファイルを生成できるツールは?
A: タイムスタンプ付きの字幕ファイル(SRT・VTT形式)の出力に対応しているのは、主にOpenAI Whisper・Notta・tl;dvです。Whisperはコマンドラインから直接SRT/VTTを書き出せるため、動画配信やYouTube字幕への流用がしやすいです。SaaS型ツールではエクスポート画面で形式を選ぶ形が一般的ですが、対応形式が契約プランによって異なる場合があるため、利用前に確認すると安全です。
Q: 1時間の音声を文字起こしするのにかかる時間は?
A: クラウド型のSaaSであれば数分から十数分程度で完了することが多いとされます。OpenAI Whisperをローカルで動かす場合は、モデルサイズ(tiny/base/small/medium/large)と機材のスペックに依存し、largeモデルでもGPU環境なら実時間より短く処理できる構成は珍しくありません。CPUのみで動かすと実時間相当以上かかることがあるため、本格運用ではGPU環境を用意するのが現実的です。
本記事は AIツール図鑑編集部 が記載時点(2026年6月)の情報をもとに執筆しています。料金・無料枠・対応機能は各サービスのアップデートで変動する可能性があるため、導入前に各公式サイトで最新情報を確認してください。

