Googleの新AI音楽モデル「Lyria 3 Pro」の使い方|料金・Suno/Udioとの違いも解説

Googleの新AI音楽モデル「Lyria 3 Pro」の使い方|料金・Suno/Udioとの違いも解説 アイキャッチ AIツール活用

「テキストを入力するだけで、プロ品質の楽曲が数秒で生成される」——そんな時代が本当にやってきた。2026年3月25日、Google DeepMindが発表したAI音楽生成モデル「Lyria 3 Pro」は、前モデルから大幅に進化し、音楽制作のハードルをさらに引き下げている。すでにSunoやUdioといった先行サービスを利用している方にとっても、Googleの本格参入は見逃せないニュースではないだろうか。本記事では、Lyria 3 Proの機能・料金・使い方を深掘りし、競合サービスとの違いまで整理していく。

Lyria 3 Proとは?Google DeepMindが開発したAI音楽生成モデルの全貌

Lyria シリーズの進化の流れ

Google DeepMindは2023年末に初代「Lyria」を発表し、AI音楽生成の分野へ参入した。その後、2024年に「Lyria 2」がリリースされ、YouTube Shorts向けの音楽生成機能「Dream Track」に搭載されるなど、Googleのエコシステムの中で着実に存在感を高めてきた経緯がある。

そして2026年3月に登場した「Lyria 3 Pro」は、このシリーズの集大成ともいえるモデル。従来のLyria 3(標準版)をベースに、音質・表現力・制御性をさらに強化したプレミアム版という位置づけだ。

Lyria 3 Proの主な特徴

Lyria 3 Proが注目を集めている理由は、以下の点に集約される。

高忠実度のオーディオ出力
48kHzのサンプリングレートに対応し、CDクオリティを超える音質で楽曲を生成できる。前モデルのLyria 3が32kHz対応だったことを考えると、出力品質の向上は明らかだ。

最大5分の長尺生成
多くのAI音楽生成ツールが30秒〜2分程度の楽曲生成に留まる中、Lyria 3 Proは最大5分の楽曲を一度に生成可能。イントロからアウトロまで、楽曲としての構成を保ったままフルレングスの曲を作れる。

高度なプロンプト理解力
「ジャズ風のピアノソロで始まり、途中からエレクトロニカに転調する」といった複雑な指示にも対応。ジャンル、楽器構成、テンポ、ムードなどを自然言語で細かく指定でき、意図通りの楽曲が生成されやすくなった。

SynthIDによる電子透かし
生成された楽曲にはGoogleの電子透かし技術「SynthID」が自動的に埋め込まれる。人間の耳には聞こえないが、AI生成コンテンツであることを技術的に検証可能。著作権やコンテンツの真正性が問われる場面で重要な仕組みといえる。

Lyria 3(標準版)との違い

「Lyria 3 Proと無印のLyria 3は何が違うのか」という疑問を持つ方も多いはず。両者の違いを端的にまとめると、以下のようになる。

項目 Lyria 3 Lyria 3 Pro
音質(サンプリングレート) 32kHz 48kHz
最大生成時間 約2分 約5分
プロンプトの細かさ 基本的な指示に対応 複雑な構成指示に対応
ステム分離出力 非対応 対応(ボーカル・ドラム・ベース等を個別出力)
利用可能プラットフォーム YouTube系ツール中心 AI Studio・Vertex AI等で広くアクセス可能

特にステム分離出力に対応した点は、映像制作や楽曲アレンジを行うクリエイターにとって大きな利点。ミックスの自由度が格段に上がった。

Lyria 3 Proの料金体系

無料枠とAPI利用料金

Lyria 3 Proの利用方法は大きく2つに分かれる。

Google AI Studio経由(個人・プロトタイプ用途)
Google AI Studioでは、一定回数まで無料でLyria 3 Proを試すことができる。Googleアカウントがあればすぐにアクセスでき、テキストプロンプトを入力するだけで楽曲生成を体験可能だ。無料枠を超えた場合は従量課金に移行する。

Vertex AI経由(商用・エンタープライズ用途)
本格的なアプリケーション開発やサービスへの組み込みには、Google CloudのVertex AIを通じたAPI利用が前提となる。料金は生成した楽曲の秒数に基づく従量課金モデルで、1秒あたりの単価は利用量や契約内容によって変動するため、Google Cloudの料金ページで最新情報を確認してほしい。

Suno・Udioとの料金比較

主要な競合サービスとの料金を比較すると、利用目的によってコスパが変わってくる。

サービス 無料枠 有料プランの目安 商用利用
Lyria 3 Pro(AI Studio) 一定回数無料 従量課金 条件付きで可能
Suno 1日5回程度 月額約10ドル〜 Pro以上で可能
Udio 1日数回程度 月額約10ドル〜 有料プランで可能

個人が趣味で楽曲を作る程度なら、SunoやUdioのサブスクリプションが分かりやすい料金体系だろう。一方、自社サービスにAI音楽生成機能を組み込みたい開発者や企業にとっては、API単位で利用できるLyria 3 Proが柔軟性で勝る。

Lyria 3 Proの使い方|テキストから楽曲を生成する手順

事前準備:Googleアカウントとアクセス方法

Lyria 3 Proを使い始めるために必要なものは以下の通り。

  • Googleアカウント(個人のGmailアカウントでOK)
  • Google AI Studioへのアクセス(aistudio.google.com
  • 対応ブラウザ(Chrome推奨)

API経由で本格利用する場合は、Google Cloudプロジェクトの作成とVertex AIの有効化が別途必要になる。ここではまず、誰でも手軽に試せるGoogle AI Studio経由の手順を解説する。

ステップ1:Google AI Studioにアクセスする

ブラウザで にアクセスし、Googleアカウントでログインする。初回アクセス時には利用規約への同意が求められるので、内容を確認して進めてほしい。

ステップ2:Lyria 3 Proモデルを選択する

AI Studioのダッシュボードからモデル選択画面を開き、「Lyria 3 Pro」を選ぶ。テキスト生成用のGeminiモデルとは別のカテゴリに分類されているので、「Music」や「Audio」のセクションを探すとスムーズに見つかるはずだ。

ステップ3:プロンプトを入力して楽曲を生成する

プロンプト入力欄に、生成したい楽曲のイメージをテキストで記述する。たとえば以下のような指示が可能。

シンプルなプロンプト例:
「リラックスできるローファイヒップホップ。ピアノとドラムマシンを使い、カフェで流れるような雰囲気で」

詳細なプロンプト例:
「BPM120のエレクトロポップ。女性ボーカル風のメロディライン、シンセサイザーのアルペジオ、ドロップ部分ではベースを強調。全体的に明るくポジティブなムード。3分程度」

プロンプトが具体的であるほど、意図に近い楽曲が生成されやすい。ジャンル・テンポ・楽器・ムード・長さの5要素を盛り込むのがコツだ。

ステップ4:生成結果を確認・ダウンロードする

生成が完了すると、プレビュープレーヤーで楽曲を再生できる。気に入った場合はそのままダウンロード可能。ステム分離出力を利用すれば、ボーカル・ドラム・ベース・その他のトラックを個別にダウンロードすることもできる。

結果に満足できない場合は、プロンプトを微調整して再生成を試みよう。同じプロンプトでも毎回異なるバリエーションが生成されるため、複数回試して比較するのも有効な使い方だ。

Suno・Udioとの徹底比較|どれを選ぶべきか

各サービスの特徴を整理

AI音楽生成サービスは群雄割拠の状態にあるが、現時点で注目度の高い3サービスを比較してみよう。

Suno(スノ)
2023年末に登場し、AI音楽生成ブームの火付け役となったサービス。歌詞付きのボーカル楽曲生成を得意とし、ポップスやロックなど歌モノのクオリティが特に高い。直感的なUIで、音楽知識がなくても「曲を作る」体験を気軽に楽しめる設計になっている。

Udio(ユーディオ)
元Google DeepMindの研究者が設立したスタートアップが開発。Sunoと同様にテキストから楽曲を生成できるが、音質の面で高い評価を受けてきた。特にインストゥルメンタル楽曲やクラシック・ジャズ系のジャンルに強みがあるとされている。

Lyria 3 Pro(リリア スリー プロ)
Googleのインフラを背景に、API経由での大規模利用に強みを持つ。他の2サービスが「楽曲生成Webアプリ」としての体験を重視しているのに対し、Lyria 3 Proは開発者向けのAPI基盤としての性格が強い。もちろんAI Studio経由で個人利用も可能だが、真価を発揮するのは既存サービスやアプリへの組み込みだろう。

6つの観点で比較

比較項目 Lyria 3 Pro Suno Udio
音質 48kHz・非常に高品質 高品質(ボーカル楽曲に強い) 高品質(インスト系に強い)
ボーカル生成 対応(楽器風メロディ中心) 得意(歌詞入りボーカル生成が強み) 対応(歌詞生成も可能)
最大生成時間 約5分 約4分 約4分
API提供 あり(Vertex AI) 限定的 限定的
日本語プロンプト対応 対応 対応 対応
ステム分離出力 対応 一部プランで対応 非対応(2026年4月時点)

利用シーン別のおすすめ

「歌モノを手軽に作りたい」→ Suno
歌詞を入力してボーカル付きの楽曲を生成する体験は、現時点でSunoが最も洗練されている。日本語歌詞にも対応しており、ポップス・ロック・R&Bなどの歌モノジャンルでは第一選択になるだろう。

「高品質なBGMやインストを作りたい」→ Lyria 3 ProまたはUdio
映像作品のBGMやポッドキャストのジングルなど、インストゥルメンタル中心の楽曲が必要な場合は、Lyria 3 ProかUdioが向いている。Lyria 3 Proはステム分離ができる点で編集の自由度が高い。

「自社サービスにAI音楽生成を組み込みたい」→ Lyria 3 Pro一択
APIの安定性・スケーラビリティ・Googleのインフラによるサポート体制を考えると、商用開発にはLyria 3 Proが最適解。Vertex AI経由で利用すれば、既存のGoogle Cloudサービスとの連携もスムーズにできる。

Lyria 3 Proで高品質な楽曲を生成するプロンプトのコツ

基本の5要素を必ず含める

プロンプトの質が楽曲の質を大きく左右する。以下の5要素を意識して盛り込むと、期待に近い楽曲が生成されやすくなった。

  1. ジャンル:ローファイヒップホップ、シンセウェイブ、アンビエントなど
  2. テンポ:BPM指定(例:BPM90)またはスロー/ミディアム/アップテンポ
  3. 楽器構成:ピアノ、アコースティックギター、シンセサイザー、ストリングスなど
  4. ムード/雰囲気:メランコリック、ポジティブ、ダーク、シネマティックなど
  5. 長さ:2分、3分30秒など具体的な時間指定

実践的なプロンプトテンプレート

実際に試して効果が高かったプロンプトのテンプレートをいくつか紹介する。

YouTube動画のBGM向け:
「明るくポジティブなアコースティックポップ。BPM110。アコースティックギターとウクレレを中心に、軽いパーカッションを加える。Vlog向けの爽やかな雰囲気で2分30秒」

ポッドキャストのイントロ向け:
「モダンでクリーンなエレクトロニカ。BPM95。シンセパッドとソフトなビート。知的でプロフェッショナルな印象。15秒でフェードアウト」

ゲームBGM向け:
「ファンタジーRPGの探索シーン用BGM。ケルト音楽の要素を取り入れたオーケストラアレンジ。フルート、ハープ、ストリングス。穏やかだが冒険を感じさせる雰囲気。ループ再生を前提に3分」

やってはいけないプロンプトの書き方

逆に、避けたほうがよいプロンプトの特徴も押さえておこう。

  • 抽象的すぎる指示:「いい感じの曲を作って」→ジャンルすら指定しないと、結果がランダムになりすぎる
  • 矛盾した指示:「激しいメタルだがリラックスできる曲」→相反する要素を入れるとAIが迷走しがち
  • 情報の詰め込みすぎ:要素を10個も20個も列挙すると、かえって焦点がぼけてしまう。5〜7要素程度が最適なバランスだ

商用利用と著作権|Lyria 3 Proで生成した楽曲は自由に使えるのか

Googleの利用規約を確認する

AI生成楽曲の商用利用については、慎重に確認すべきポイントがある。Lyria 3 Proで生成した楽曲の利用条件は、アクセス方法によって異なる。

AI Studio経由で生成した楽曲
個人利用やプロトタイピング目的が中心。商用利用を検討する場合は、Google AI Studioの利用規約で最新の条件を確認する必要がある。

Vertex AI(API)経由で生成した楽曲
エンタープライズ向けの利用規約が適用され、商用利用が可能。ただし、SynthIDの電子透かしは除去できないため、AI生成コンテンツであることは技術的に識別可能な状態が維持される。

既存楽曲の著作権侵害リスク

AI音楽生成における最大の懸念は「既存楽曲に酷似した楽曲が生成されるリスク」だろう。Googleはこの点について、学習データの選定とフィルタリングによってリスクを最小化していると説明している。とはいえ、生成された楽曲が偶然既存の楽曲に類似する可能性は完全には排除できない。

商用利用する場合は、楽曲の類似性チェックツール(Shazamやメロディ検索サービスなど)で事前にスクリーニングすることを推奨する。特にCMやテレビ番組など広範に配信されるコンテンツに使う際は、慎重に判断してほしい。

今後の展望|AI音楽生成は何を変えるのか

クリエイターのワークフローが変わる

Lyria 3 Proの登場によって、音楽制作のワークフローは確実に変化していく。たとえば映像クリエイターがBGMを探す際、これまではストック音楽サイトで既存のライブラリから選ぶか、作曲家に依頼するかの二択だった。AIによる楽曲生成が実用レベルに達したことで、「自分のイメージに合う楽曲をその場で生成する」という第三の選択肢が現実的になっている。

もちろん、プロの作曲家やミュージシャンの仕事がすべてAIに置き換わるわけではない。高度な芸術性や独自の音楽性が求められる領域では、人間のクリエイティビティは不可欠であり続ける。AI音楽生成は「誰でも80点の楽曲を作れるツール」として、クリエイティブの裾野を広げる役割を果たすのではないだろうか。

Google以外の動向も見逃せない

Meta(AudioCraft)、Stability AI(Stable Audio)、そしてSunoやUdioなど、AI音楽生成の分野には多数のプレイヤーが参入している。今後は各社がそれぞれの強みを活かした差別化を進めていくことが予想される。GoogleはVertex AIというクラウドプラットフォームとの統合が最大の武器であり、エンタープライズ市場での優位性を築いていくことになるだろう。

AI画像生成ツールについて知りたい方は、「AI画像生成ツール8選を徹底比較|用途別おすすめ」も参考にしてみてほしい。また、Google製AIの全体像を把握したい方には「Google Geminiとは?特徴・料金・使い方を初心者向けに完全ガイド」が役立つはずだ。

まとめ

Lyria 3 Proは、Google DeepMindが本気で音楽生成AI市場に乗り込んできたことを示すモデルだ。48kHzの高音質出力、最大5分の長尺生成、ステム分離対応、そしてVertex AIを通じたスケーラブルなAPI提供と、技術的な完成度は非常に高い。

個人が手軽に楽曲を楽しみたいならSunoやUdioのサブスクリプションが手軽で分かりやすい。一方、自社アプリやサービスへのAI音楽生成機能の組み込みを検討している開発者や企業であれば、Lyria 3 ProのAPIは有力な選択肢になるだろう。

まずはGoogle AI Studioの無料枠で実際に楽曲を生成してみてほしい。テキストを入力してから数秒で楽曲が出来上がる体験は、音楽制作に対する認識を変えてくれるはずだ。

よくある質問(FAQ)

Q: Lyria 3 Proは無料で使えますか?
A: Google AI Studio経由であれば、一定回数まで無料で利用可能。無料枠を超えると従量課金に移行する。本格的なAPI利用にはGoogle CloudのVertex AIが必要で、こちらは生成秒数に応じた課金となる。

Q: Lyria 3 Proで生成した楽曲をYouTube動画のBGMに使えますか?
A: 利用規約に従えば使用可能だが、楽曲にはSynthIDの電子透かしが埋め込まれるため、AI生成コンテンツであることは技術的に識別される。商用利用する際は最新の利用規約を必ず確認してほしい。

Q: 日本語のプロンプトでも楽曲を生成できますか?
A: 対応している。ただし、英語のプロンプトのほうが音楽用語(ジャンル名、楽器名など)がそのまま伝わるため、より精度の高い結果が得られる傾向にある。日本語で大まかな指示を出し、専門用語だけ英語で補足するのがおすすめの書き方だ。

Q: SunoやUdioからLyria 3 Proに乗り換えるべきですか?
A: 用途次第で判断が分かれる。歌詞付きボーカル楽曲を手軽に作りたいならSunoが依然として強い。BGMやインストゥルメンタル中心で、かつAPIによるシステム連携が必要な場合はLyria 3 Proが適している。両方を併用するのも現実的な選択肢だろう。

Q: Lyria 3 Proで生成した楽曲の著作権は誰に帰属しますか?
A: Googleの利用規約に基づき、生成物に対する権利はユーザー側に帰属するのが基本的な建て付け。ただし、AI生成コンテンツの著作権に関する法整備は各国で進行中であり、商用利用時は法的な確認を取ることを推奨する。日本では2026年4月時点で、AI生成物の著作権に関する明確な判例はまだ少ないのが現状だ。

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