GPT-6 は Sol と Luna のどちらを選ぶか|推論設定・作業の種類・使える経路で決める

GPT-6 Solに関する記事のアイキャッチ画像 - GPT-6 は Sol と Luna のどちらを選ぶか|推論設定・作業の種類・使える経路で決める AIツール活用

要点

OpenAI の経路で Sol と Luna を指定できるのは API と ChatGPT の Work・Codex で、ChatGPT の通常のチャットではどちらも選べない。性能や費用を比べる前に、手元の経路で候補を絞る。

Sol と Luna は、単価の比ではなくタスクごとの費用と結果を並べて比べる。Luna は low の結果だけで判断しない。

良い結果の形が決まった反復作業は Luna の候補になる。業務フローとコンピュータ操作は発表の図で Sol との差が残るため Sol を候補に残し、それでも足りなければ Astra を検討する。

本記事の料金・仕様・提供範囲は2026年9月24日に各公式ページで確認した掲載値にもとづく。ベンチマークの点数と1タスクあたりのコストは、OpenAI が発表記事の図に載せた値で、同社の測定とコスト推定である。当サイトの実測ではなく、第三者が検証した値でもない。

GPT-6 の Astra・Sol・Luna と、この記事で扱う範囲

OpenAI のモデル一覧は、どこから始めるか迷ったら GPT-6 Astra、知能とコストのバランスを取るなら GPT-6 Sol、コストに敏感な大量処理には GPT-6 Luna、という位置づけで3つのモデルを案内している。本記事はこのうち Sol と Luna のどちらを使うか、必要なら Astra へ上げるかを、推論設定・作業の種類・使える経路の3つの軸で判断するための材料をまとめる。

用語をそろえておく。本記事で世代を付けずに Sol・Luna と書くときは GPT-6 Sol・GPT-6 Luna を指し、Astra は GPT-6 Astra を指す。前の世代にも同じ名前のモデルがあるため、GPT-5.6 のモデルは必ず「GPT-5.6 Sol」「GPT-5.6 Terra」「GPT-5.6 Luna」と世代を付けて書く。

2026年9月24日時点の公式のモデル一覧で、GPT-6 の汎用モデルとして並ぶのは Astra・Sol・Luna の3つで、GPT-5.6 にある Terra に当たる GPT-6 のモデルは並んでいない。今後追加される可能性はあるが、現時点で選ぶ対象はこの3つになる。GPT-5.6 Terra を使っている場合の考え方は後半の「旧モデルから移る場合」で扱う。GPT-5.6 Sol・GPT-5.6 Terra・GPT-5.6 Luna の中でどれを選ぶかについては、GPT-5.6 の3階層の選び方をまとめた記事で扱っている。

API の仕様で見ると、Sol と Luna は多くの項目が共通で、この表の範囲で違うのは知識のカットオフだけである。

項目(API の仕様) GPT-6 Sol GPT-6 Luna GPT-6 Astra(参考)
コンテキストウィンドウ 1,050,000 トークン 1,050,000 トークン 1,050,000 トークン
最大出力 128,000 トークン 128,000 トークン 128,000 トークン
推論設定(reasoning.effort) none・low・medium(既定)・high・xhigh・max の6段 none・low・medium(既定)・high・xhigh・max の6段 low・medium・high・xhigh・max の5段(none は無い)
入力と出力 入力はテキストと画像、出力はテキスト 入力はテキストと画像、出力はテキスト —
知識のカットオフ 2026年4月20日 2026年5月18日 —

表は2026年9月24日に各モデルの公式ページと公式のモデル一覧で確認した API の掲載値で、ChatGPT の各製品で使える上限と同じとは限らない。「—」は本記事で扱っていない項目を示す。

API で推論設定を none 以外(既定の medium を含む)にしてツールを使う構成は、Responses API が前提になる。Sol と Luna の公式モデルページは、組み込みツールと関数呼び出しには Responses API を使うよう案内しており、Chat Completions で関数呼び出し(function calling)を使えるのは reasoning_effort が none のときだけとしている。

使える経路で先に絞る

本記事が扱うのは OpenAI の API と ChatGPT の経路である。GitHub Copilot と Microsoft Foundry でも GPT-6 Sol・GPT-6 Luna が提供されており、GitHub の変更履歴(2026年9月22日)は GPT-6 Sol を Copilot Pro+・Max・Business・Enterprise、GPT-6 Luna を Copilot Pro・Pro+・Max・Business・Enterprise で使えるとしている(展開は段階的)。Microsoft Foundry のモデルカタログも gpt-6-sol と gpt-6-luna をどちらも一般提供(GA)としている。これらの経路の料金や上限は本記事では扱わない。

性能や費用を比べる前に、手元の経路でそもそも Sol と Luna を選べるかを確かめておく。OpenAI の発表記事によると、両モデルは2026年9月22日に発表され、ChatGPT では Work と Codex で、Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu の全ユーザーに向けて提供が始まった。提供は一日かけて段階的に広げると同社は書いている。一方で、ChatGPT の通常のチャット(Chat)ではまだ使えない。API では gpt-6-sol と gpt-6-luna の名前で指定する。

Codex のモデルページも同じく、ChatGPT では GPT-6 Sol と GPT-6 Luna は Work と Codex で使え、Chat では使えないとしている。また、新しいモデルを選んでもワークスペースの権限は変わらず、それだけで使えるようになるわけではないとも書いている。

経路 GPT-6 Sol・GPT-6 Luna の扱い(2026年9月24日時点の公式の記述)
OpenAI API gpt-6-sol・gpt-6-luna で指定できる
ChatGPT の Work・Codex Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu で段階的に提供
ChatGPT の通常のチャット(Chat) 使えない
ChatGPT の Free・Go GPT-6 Luna の扱いが資料によって食い違う(次の表)

Free と Go で GPT-6 Luna を使えるかどうかは、公式の資料どうしで記述がそろっていない。

公式の資料 Free・Go での GPT-6 Luna の記述
発表記事 デスクトップアプリで GPT-6 Luna を使える
Codex のモデルページ GPT-5.5 の置き換え先として、使えるようになったらデスクトップアプリで GPT-6 Luna を選ぶよう案内
ChatGPT Learn の料金ページ 展開に応じて、デスクトップアプリで GPT-6 Luna を標準速度で使える
chatgpt.com の料金ページの比較表 無料版・Go とも「いいえ」(Plus は「上限あり」、Pro は「拡張」。GPT-6 Sol の行も同じ表示)

どちらの記述が正しいかは本記事では判定しない。Free・Go で GPT-6 Luna を使う前提で計画を立てる場合は、手元のデスクトップアプリのモデル選択の画面で、実際に選べるかを確かめる必要がある。

Codex で使う場合、GPT-6 の Sol と Luna を並べて比べるなら、Codex cloud 以外の経路(デスクトップアプリや Codex CLI など)で試すことになる。Codex cloud のチャットは今のところ既定モデルを変更できず(Codex のモデルページ)、ChatGPT のプランで使う cloud のチャットは GPT-5.6 Sol を使う(ChatGPT Learn の料金ページ)ため、Codex cloud のチャットでは GPT-6 の Sol・Luna はどちらも選べない。Codex のモデルページの対応表でも GPT-6 Luna は Codex cloud の対象外で、対応しているのは、デスクトップアプリの Work と Codex、Web の ChatGPT Work、Codex CLI、IDE 拡張、ChatGPT Credits、API である。なお cloud のチャットは、ローカルのメッセージより利用枠を多く使うことがある。

同じページによると、GPT-6 Luna は推論設定を Max まで選べるが、Ultra には対応しない。また gpt-5.4-mini の置き換えを説明する箇所で、Enterprise と Edu では管理者が先に Luna を有効にする必要があるとしている。組織のプランで Luna が選択肢に出てこない場合は、まず管理者側の設定を確認することになる。

単価は Sol が Luna の20倍

API の料金は次のとおり。いずれも2026年9月24日に公式料金ページで確認した、OpenAI 直課金の API の掲載値で、ChatGPT のプラン料金は含まない。料金は改定されうる。

標準区分(100万トークンあたり・米ドル) 入力 キャッシュ入力 キャッシュ書き込み 出力
GPT-6 Astra 10.00 1.00 12.50 50.00
GPT-6 Sol 2.00 0.20 2.50 10.00
GPT-6 Luna 0.10 0.01 0.125 0.50
入力 272K トークン超の長文区分(100万トークンあたり・米ドル) 入力 キャッシュ入力 キャッシュ書き込み 出力
GPT-6 Astra 20.00 2.00 25.00 75.00
GPT-6 Sol 4.00 0.40 5.00 15.00
GPT-6 Luna 0.20 0.02 0.25 0.75

Sol と Luna の単価の比は、標準区分でも長文区分でも、入力・キャッシュ入力・キャッシュ書き込み・出力のどの行でも20倍で変わらない。Astra と Sol の比も、どの行でも5倍である。これは掲載値からの単純計算で、あくまで単価の比であり、1タスクあたりに支払う額の比ではない。

比が区分によって動かないのは、料金の係数が両モデルに同じ割合で掛かるためだ。Sol と Luna の公式モデルページには同じ記述があり、キャッシュ入力は非キャッシュ入力の10%、キャッシュ書き込みは非キャッシュ入力の1.25倍になる。入力が 272K トークンを超えるプロンプトはリクエスト全体が対象になり、入力とキャッシュが2倍、出力が1.5倍の単価になる。Batch と Flex は標準の50%、Fast mode は該当する単価の2倍である。キャッシュをどう組むかで入力側の費用は大きく変わるので、その組み方はLLM API のプロンプトキャッシュでコストを削る記事で扱っている。

ChatGPT の Work・Codex で使う場合

ChatGPT のプランで使う Work と Codex では、API のようにトークン単価で直接払うのではなく、プランの利用枠かクレジットで使う(自前の API キーで使う Codex は API の料金になる)。Work と Codex は利用枠を共有している。ChatGPT Learn の料金ページは、5時間あたりのローカルメッセージ数の目安と、クレジットの単価を次のように示している。

項目(ChatGPT Learn の料金ページ・2026年9月24日の表示) GPT-6 Sol GPT-6 Luna
Plus の目安(5時間あたりのローカルメッセージ数) 15〜150 350〜3,000
Pro 5x の目安(5時間あたりのローカルメッセージ数) 70〜700 1,750〜14,000
クレジット:入力(100万トークンあたり) 50 2.5
クレジット:キャッシュ入力(100万トークンあたり) 5 0.25
クレジット:出力(100万トークンあたり) 250 12.5

クレジットの単価も Sol が Luna の20倍で、API と同じ比になっている。メッセージ数の目安は向きが逆で、Luna のほうが多い。幅の上側どうしで比べると Luna が Sol の20倍(Plus で 3,000 対 150)、下側どうしでは約23〜25倍になる。なお Codex のクレジット課金には、キャッシュ書き込みの料金が別に設けられていない。

メッセージ数はあくまで目安で、固定の上限ではないと公式は断っている。使うモデル・文脈の長さ・推論・ツールの利用・キャッシュの状況で変わり、週ごとの上限がかかる場合もある。現在の上限とリセットの時刻は、利用状況のダッシュボードで確かめるよう案内されている。

1タスクあたりの総額の比は、単価の20倍どおりとは限らない

単価の比と、1つの作業を終えるまでに払う総額の比は別物である。推論設定を上げると出力と推論に使うトークンが増えるため、同じモデルでも1タスクあたりのコストは上がると考えられる。Codex のモデルページも、高い推論設定は複雑な作業の結果を良くしうる一方で、時間がかかりトークンを多く使うと書いている。発表の図に載っている1タスクあたりのコストも、推論設定ごとのトークン量の違いを含んだ値とみられる(図の各点のトークン内訳は公開されていない)。

次の表は、OpenAI が2026年9月22日の発表記事「Introducing GPT-6 Sol and Luna」の図に載せた値で、同社の測定とコスト推定である。当サイトの実測ではない。「結果が最も良い設定」は図の5段(low〜max)のうち結果が最も良い設定を指し、点数は最も高い設定を、事実性の誤り率は低いほど良いので最も低い設定を載せた。

ベンチマーク 測っているもの GPT-6 Sol(結果が最も良い設定) GPT-6 Luna(結果が最も良い設定) GPT-6 Luna(low)
DeepSWE 1.1 実際のコードベースでの長い開発作業 68.8%(max)・1タスク $2.74 66.6%(max)・1タスク $0.22 2.4%・1タスク $0.0057
FrontierCode 1.1 そのままマージできる変更を書けるか 49.3%(max)・1タスク $2.14 42.4%(max)・1タスク $0.11 25.7%・1タスク $0.021
Agents’ Last Exam 専門職の長い業務 56.4%(max)・1タスク $2.93 50.9%(max)・1タスク $0.15 36.3%・1タスク $0.025
AutomationBench 複数のツールをまたぐ業務フロー 33.2%(xhigh)・1タスク $0.27 20.7%(max)・1タスク $0.037 1.2%・1タスク $0.0060
OSWorld 2.0(offline) コンピュータ操作 64.4%(max)・1タスク $3.25 52.7%(max)・1タスク $0.27 8.3%・1タスク $0.030
事実性の誤り率(低いほど良い) 誤りを誘発した会話での事実の誤り 4.5%(xhigh)・1件 $0.13 7.6%(max)・1件 $0.012 27.7%・1件 $0.0024

OpenAI 自身が自社の構成で測った値で、第三者の検証ではない。1タスクあたりのコストも同社の推定である。図に none の値は無く、試行回数やばらつきの幅も示されていない。手元の作業で同じ点数・同じ比になる保証はない。

この図から1タスクあたりの比を取り出すと、どの設定どうしを比べるかで結果が変わる。

  • 点数を揃えた組み合わせ:DeepSWE では、Sol の xhigh と Luna の max がどちらも 66.6% で並び、1タスクあたりのコストは Sol が 1.00 ドル、Luna が 0.22 ドルと図に示されている。この組み合わせでは、1タスクあたりの比は5倍に満たず、単価の20倍より小さい(1.00 ÷ 0.22 の単純計算)。
  • 結果が最も良い設定どうし:FrontierCode(Sol 2.14 ドル対 Luna 0.11 ドル)と Agents’ Last Exam(2.93 ドル対 0.15 ドル)は20倍前後だが、DeepSWE(2.74 ドル対 0.22 ドル)と OSWorld 2.0(3.25 ドル対 0.27 ドル)は約12倍、AutomationBench(0.27 ドル対 0.037 ドル)は約7倍で、単価の比より小さい。
  • low どうし:DeepSWE では Sol 0.16 ドル対 Luna 0.0057 ドルで、約28倍と単価の比より開く。

つまり1タスクあたりの比は、比べる設定と作業しだいで単価の20倍より縮むことも開くこともある。DeepSWE の点数を揃えた組み合わせで比が5倍を切ったのは、Luna を最も高い設定まで使い、Sol は一段下の設定で並んだためで(結果が最も良い設定どうしでは約12倍)、どの作業でも同じことが起きるとは図からは言えない。

加えて、図の値は OpenAI の研究環境か API で測ったもので、ChatGPT の製品ではシステムプロンプトや使えるツールの違いによって出力が少し変わりうると同社は断っている。ChatGPT の Work や Codex で使う場合は、なおさら図の比をそのまま当てはめにくい。

Luna は low の結果だけで判断しない

発表の図で Luna を low にした値は、DeepSWE が 2.4%、AutomationBench が 1.2%、OSWorld 2.0(offline)が 8.3% で、同じ図の medium 以上と比べて大きく落ちている。同じ low でも Sol は DeepSWE 37.2%、AutomationBench 21.2%、OSWorld 2.0 43.9% を保っており、この3本では low での落ち方に Sol と Luna で大きな差がある。

一方で、同じ図の Agents’ Last Exam(Luna の low は 36.3%)と FrontierCode(同 25.7%)では、落ち方はこの3本ほど大きくない。落ち方はベンチマークごとに違い、図に並ぶ評価はコーディング・業務フロー・コンピュータ操作・専門職の業務・事実性で構成されている。短い分類や抽出のような作業で同じ落ち方をするかは、この図からは分からない。

推論設定による点数の差がいちばん大きく出ているのは DeepSWE の図である。次の表は同じ発表記事の DeepSWE の図に載った値で、同社の測定とコスト推定である(当サイトの実測ではない)。

推論設定 GPT-6 Sol GPT-6 Luna
low 37.2%・1タスク $0.16 2.4%・1タスク $0.0057
medium 56.6%・1タスク $0.38 44.5%・1タスク $0.052
high 65.3%・1タスク $0.64 59.3%・1タスク $0.084
xhigh 66.6%・1タスク $1.00 61.3%・1タスク $0.11
max 68.8%・1タスク $2.74 66.6%・1タスク $0.22

1つのベンチマークの値で、図に none の値は無い。1タスクあたりのコストは同社の推定である。

推論設定の起点についても、経路ごとに案内が違う。Codex のモデルページ(ChatGPT の Work と Codex 向けの案内)は、始める設定を Sol は Medium、Luna は High、Astra は Light(設定では low)に置いている。これは Codex の案内が置く起点であって、API の既定値とは別の話だ。

API では reasoning.effort を指定しなければ medium で動く。API で Luna を評価する場合、既定の medium だけで結論を出さず、high 以上も明示して試し、Sol の medium と並べて比べると、上の表のような設定による差を取りこぼしにくい。

同じ Codex のページは、推論設定の段は世代間で正確には対応しないため、慣れた作業を低めの設定で試し、結果を見て調整するようにも案内している。短く定型的な作業なら low で足りる可能性もあるので、low で足りるかどうかも段ごとに測って確かめる、という進め方になる。

設定を上げれば必ず良くなるわけでもない。発表の図には、推論設定を一段上げても点数が下がる区間がある。

  • Luna の AutomationBench:high 14.5% に対し xhigh 12.6%
  • Luna の Agents’ Last Exam:medium 46.8% に対し high 43.6%
  • Sol の AutomationBench:xhigh 33.2% に対し max 32.0%

いずれも1タスクあたりのコストは同じか上がっている。図には試行回数やばらつきの幅が示されていないため、この下がり方がどの程度安定したものかは読み取れない。いずれにしても、最も高い設定が最も良いとは限らないので、評価では何段かを並べて見ることになる。

段を切り替えながら使う場合の費用面では、OpenAI は GPT-6 向けにプロンプトキャッシュを改善したと説明している。既定でキャッシュのヒット率が上がるようにしたうえで、推論設定の上げ下げやツールの有効・無効を切り替えても、それより前の文脈をキャッシュの再利用のために保つようにしたという。難しい段だけ設定を上げ、簡単な続きの応答では下げる、といった使い方でもキャッシュが途切れにくくなる、というのが同社の説明である。

Luna で届く作業と、Sol・Astra に上げる作業

Codex のモデルページは、Sol と Luna の向き先を次のように分けている。Sol は日常の作業と複雑な作業向けで、追加の分析や判断、仕上げが要る曖昧・難しい・価値の高い作業、たとえば複雑なコード変更、深いリサーチ、仕上げた文書に向けている。Luna は良い結果の形が分かっている具体的な大量作業向けで、抽出・分類・変換・構造化した要約などを例に挙げている。

発表の図をこの案内と照らすと、分野によって重なり方が違う。

  • 業務フロー:営業・マーケティング・運用・サポート・財務・人事にまたがる 47 のツールを使う業務フローを通しで試す AutomationBench では、Sol の最高点が 33.2%(xhigh)、Luna の最高点が 20.7%(max)で、案内どおり Sol が上に残る。
  • コンピュータ操作:OSWorld 2.0(offline セットの部分点)では Sol が 64.4%(max)、Luna が 52.7%(max)で、Luna の最高点でも Sol との差が残る。
  • コーディング:測る内容で分かれる。実際のコードベースでの長い開発作業を測る DeepSWE では、Luna の max が Sol の xhigh と同じ 66.6% に並ぶ。一方、そのままマージできる変更を書けるかを測る FrontierCode では、結果が最も良い設定どうしで Sol 49.3% 対 Luna 42.4% と差が残る。

FrontierCode は正しさだけでなく、テストの質・変更範囲の守り方・コードの書き方・コードベースの規約への沿い方といった「マージのしやすさ」でも採点される。仕上がりの品質がそのまま問われるコード変更では、この図の範囲で Sol を候補に残す理由がある。逆に、良い結果の形が決まっていて、手元の作業で Luna の点数が足りると確かめられた作業は、Luna へ寄せる候補になる。作業ごとに Sol と Luna を振り分ける組み方は、LLM のトークンコストを抑えるモデルルーティングの記事で扱っている。

事実性については、OpenAI は社内の評価で、Sol の誤りは前世代のおよそ半分になり、Luna も大きく改善したとしている。発表の図の誤り率は、Sol の xhigh が 4.5%、Luna の max が 7.6%、Luna の low が 27.7% で、Luna は推論設定を下げるほど誤り率が上がっている(low は max の3倍を超える)。ただしこの評価は、ユーザーがモデルの事実誤りを指摘した会話を匿名化して作ったもので、OpenAI 自身が通常の利用を代表しない(通常は事実誤りはもっと少ない)と断っている。数値は誤り率で、低いほうが良い。

Sol でも足りない場合に Astra へ上げるかは、作業によって答えが変わる。OpenAI は Astra を引き続き全般で最良のモデルとしており、発表の図でも OSWorld 2.0(offline)の最高点は Astra が 73.5%(max・1タスク 9.07 ドル)で、Sol の 64.4%(max・3.25 ドル)を上回る。一方で AutomationBench では、Sol の xhigh 33.2%(0.27 ドル)が Astra の low 30.3%(1.08 ドル)を上回っている。図の範囲でも、Astra の低い設定より Sol の高い設定のほうが点数の高い例があるため、Astra へ上げる場合も推論設定と組み合わせて比べることになる。Astra と前世代の GPT-5.6 Sol との違いは、GPT-6 Astra と前世代の違いをまとめた記事で扱っている。

いずれも OpenAI の図の範囲での関係で、Astra・Sol・Luna のどれが総合で上かという順位を決めるものではない。

セキュリティ用途で使う場合(Daybreak)

Daybreak は、防御目的のサイバーセキュリティ作業向けに OpenAI が承認制で提供しているアクセス制度(Trusted Access for Cyber)で、Daybreak Blue と Daybreak Red はその中のアクセス階層にあたる。2026年9月24日に確認したヘルプ記事によると、Daybreak Blue で拒否が減るのは GPT-5.5・GPT-5.6 Sol・GPT-6 Sol・GPT-6 Luna などで、Astra は Blue では標準の安全策のままになっている(Astra の拒否が減るのは Daybreak Red)。ただし OpenAI は、Astra の拒否を減らす対応を Blue にも広げる作業を進めているとしており、この扱いは今後変わる見込みがある。

承認を受けただけでは拒否は減らず、ワークスペースか API プロジェクトの設定で Daybreak を有効にする必要がある、ともヘルプ記事は書いている。Blue の階層で防御目的の作業をする場合、2026年9月24日時点では Sol と Luna が拒否の減る側に入り、Astra は入っていない。

旧モデルから移る場合

移る必要があるかどうかは、使っているモデルと経路で分かれる。Codex のモデルページによると、GPT-5.6 Sol・GPT-5.6 Terra・GPT-5.6 Luna は GPT-6 の展開の間も引き続き使える。同ページに GPT-5.6 の退役日は示されていない(2026年9月24日時点)。API で GPT-5.6 Sol を使っている場合は、後述のとおり現行価格が「少なくとも2026年11月21日まで」のプロモーション価格とされている点が判断材料になる。

Codex のモデルページで期限が示されているのは、ChatGPT・ChatGPT Work・Codex で GPT-5.5 を使っている場合である。2026年10月14日に GPT-5.5 はこれらの全プランから退役する(OpenAI API は対象外)。また gpt-5.4 と gpt-5.4-mini は、2026年8月31日に ChatGPT のサインインで使う Codex からすでに退役している。

使っているモデル 退役の日付と範囲 対象外 案内されている置き換え先
GPT-5.5 2026年10月14日、ChatGPT・ChatGPT Work・Codex の全プラン OpenAI API ChatGPT のサインインで使う Codex では、Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu は GPT-6 Sol、Free と Go はデスクトップアプリの GPT-6 Luna(使えるようになったら)
gpt-5.4 2026年8月31日、ChatGPT のサインインで使う Codex(退役済み) OpenAI API、自前の API キーで使う Codex gpt-6-sol
gpt-5.4-mini 2026年8月31日、ChatGPT のサインインで使う Codex(退役済み) OpenAI API、自前の API キーで使う Codex gpt-6-luna

いずれも Codex のモデルページの記述で、置き換え先はプランやクライアントで使えるようになったときの案内である。Free と Go の GPT-6 Luna の扱いが資料によって食い違う点は、前の「使える経路で先に絞る」の表のとおり。

GPT-5.6 からの値下げ

OpenAI は発表記事で、GPT-6 Sol と GPT-6 Luna の API 価格について、GPT-5.6 のプロモーション価格と比べて「50% cheaper」(50%安い)と説明している。同社の表では、入力は GPT-5.6 Sol の 4 ドルから 2 ドル、GPT-5.6 Luna の 0.20 ドルから 0.10 ドル、出力は 20 ドルから 10 ドル、1.20 ドルから 0.50 ドルになっている。ただし GPT-5.6 Sol の現行価格は、公式料金ページで少なくとも2026年11月21日まで適用されるプロモーション価格と注記されている。GPT-6 Sol の単価が GPT-5.6 Sol の半額という関係は、このプロモーション価格が続く間の比較であり、終了後の価格は示されていないため、その後の比は今の時点では分からない。

標準区分(100万トークンあたり・米ドル) 入力 キャッシュ入力 キャッシュ書き込み 出力 プロモーション価格の注記
GPT-5.6 Sol 4.00 0.40 5.00 20.00 あり(少なくとも2026年11月21日まで)
GPT-6 Sol 2.00 0.20 2.50 10.00 なし
GPT-5.6 Luna 0.20 0.02 0.25 1.20 なし
GPT-6 Luna 0.10 0.01 0.125 0.50 なし

2026年9月24日に公式料金ページと GPT-5.6 Luna のモデルページで確認した掲載値。プロモーション価格の注記は GPT-5.6 Sol に付いたもので、GPT-6 の3モデルや GPT-5.6 Terra・GPT-5.6 Luna の行には付いていない。GPT-5.6 Luna から GPT-6 Luna では、出力が 1.20 ドルから 0.50 ドルで約58%下がっており、同社の表現の50%より下げ幅が大きい。なお公式は GPT-5.6 Luna を、以前の GPT-5 ファミリーの nano 階層におおむね相当すると説明している。

GPT-5.6 Terra を使っている場合

2026年9月24日時点の公式のモデル一覧には、GPT-5.6 Terra の後継に当たる GPT-6 のモデルは並んでいない。公式は GPT-5.6 Terra を知能とコストのバランスを取るモデルとし、以前の GPT-5 ファミリーの mini 階層におおむね相当すると説明している。API 料金は 100万トークンあたり入力 2.00・キャッシュ入力 0.20・出力 12.00 ドルで、単価で近いのは GPT-6 Sol になる。GPT-6 Sol と比べると入力は同額で、出力は GPT-6 Sol のほうが 2 ドル安い。

ただしこれは単価だけの比較である。発表記事の図で比べられているのは GPT-6 Astra・GPT-6 Sol・GPT-6 Luna・GPT-5.6 Sol・GPT-5.6 Luna と Claude のモデルで、GPT-5.6 Terra は含まれていない。そのため、GPT-6 Sol・Luna と GPT-5.6 Terra の性能差は発表の図からは読み取れない。GPT-5.6 Terra から移る先を決めるには、手元の代表的な作業で GPT-6 Sol と、推論設定を何段か変えた GPT-6 Luna の両方を測って決めることになる。GPT-5.6 の3階層の中での選び方は、GPT-5.6 の3階層の選び方をまとめた記事で扱っている。

まとめ

Sol と Luna の選択は、単価の差だけでは決まらない。判断の順番は次のようになる。

  • 最初に経路を確かめる。ChatGPT の通常のチャットでも Codex cloud のチャットでも GPT-6 の Sol・Luna は選べない。Free・Go での Luna の扱いは資料が食い違っているので、手元の画面で確認する。
  • 単価の比と、1タスクあたりの総額の比は別に考える。後者は比べる設定と作業しだいで、単価の比より縮むことも開くこともある。
  • Luna は low の結果だけで判断しない。代表的な作業で Luna を何段かの推論設定で、Sol を起点の設定で測り、点数と費用を並べて比べる。短い作業なら low で足りるかどうかもその中で確かめる。
  • OpenAI の図の範囲では、業務フローとコンピュータ操作で Sol との差が残り、コーディングは測る内容で分かれる。良い結果の形が決まった反復作業は Luna、仕上がりの品質が問われる作業は Sol を候補に残し、それでも足りない作業で Astra を試す。

よくある質問

ChatGPT の普段のチャットで GPT-6 Sol を選べるか

2026年9月24日時点では選べない。発表記事と Codex のモデルページのどちらも、ChatGPT では GPT-6 Sol と GPT-6 Luna は Work と Codex で使え、通常のチャット(Chat)では使えないとしている。Work と Codex では Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu の全ユーザーに向けて段階的に提供が始まっている。

Luna は安いぶん、性能も低いのか

一律には言えない。OpenAI の図では、DeepSWE で Luna の max が Sol の xhigh と同じ点数に並ぶ一方、AutomationBench と OSWorld 2.0 では Luna の最高点でも Sol との差が残る。また Luna は、DeepSWE・AutomationBench・OSWorld 2.0 では low にすると点数が大きく落ちるが、Agents’ Last Exam と FrontierCode ではそこまで落ちない。どのベンチマークでも同社の測定で、手元の作業で同じ傾向になるかは測ってみないと分からない。

GPT-5.6 Terra の代わりはどれになるか

2026年9月24日時点の公式のモデル一覧には、GPT-5.6 Terra に当たる GPT-6 のモデルは並んでいない。単価で近いのは GPT-6 Sol だが、発表の図に GPT-5.6 Terra は含まれていないため、性能の差は公式の値からは分からない。候補は GPT-6 Sol と GPT-6 Luna の両方で、手元の作業で測って決める形になる。

Codex で Luna を使うときに気をつけることは

Codex のモデルページによると、Luna は Codex cloud に対応しておらず、推論設定は Max まで選べるが Ultra には対応しない。Enterprise と Edu では管理者が先に Luna を有効にする必要がある。同じページは Luna の推論設定の起点を High に置いている。利用枠については、ChatGPT Learn の料金ページが示す5時間あたりのメッセージ数はあくまで目安で、固定の上限ではない。現在の上限は利用状況のダッシュボードで確かめる。

参考資料

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