Fara1.5とは|Microsoftのブラウザ操作AIエージェント(4B/9B/27B)

Fara1.5とは|Microsoftのブラウザ操作AIエージェント(4B/9B/27B) AIエージェント
記事の根拠: 公式一次資料にもとづく解説・整理
本文の最終更新: 2026年7月
検証: AIツール図鑑編集部(AI自動化・ツール実運用 / 料金・規約は公式資料で確認)

ブラウザを「見て・考えて・操作する」AIエージェントとFara1.5の位置づけ

Webブラウザの画面を読み取り、マウスやキーボードの操作を自分で組み立ててタスクを進めるAIを、コンピュータ操作エージェント(computer-use agent、CUA)と呼ぶ。検索窓に文字を打つ、ボタンを押す、フォームを埋める、ページを遷移する。人間が画面を見ながらやっている一連の動きを、スクリーンショットを入力にしてモデルが代行する。OpenAIのOperatorやGoogleのGemini Computer Useはこの系統のクラウドサービスで、APIやアプリ経由で動く。

こうしたクラウド型に対して、手元のマシンで動かせる小型のモデル(ローカルLLM)が出てくると、論点が二つ生まれる。ひとつは料金で、操作エージェントはタスクごとに何十回もモデルを呼ぶため、従量課金だと長い作業ほどコストが膨らむ。もうひとつはデータの扱いで、操作対象のページにログイン情報や個人情報が映り込むとき、その画面が外部のクラウドへ送られることになる。ローカルで完結させられれば、この二点の制御をご自身の側に置ける可能性がある。

Microsoftが2026年5月に公開したFara1.5は、その「手元で動かせる側」に立つブラウザ操作エージェントのモデル群だ。比較的小さなサイズでクラウド大手の操作エージェントに並ぶ、あるいは上回るベンチマーク結果を示した点で注目された。この記事では、Fara1.5が何をするモデルで、どんな仕組みで、誰向けで、どこに制約があるのかを、公式の発表内容を軸に整理する。数値やライセンスについては、確認できた事実と、まだ裏が取れていない事項を分けて扱う。

Fara1.5の概要:サイズ展開・ベース・公開形態

Fara1.5はMicrosoft Researchが公開した、ブラウザ上のタスクを実行するコンピュータ操作エージェントのモデルファミリーだ。公式の記事によれば、公開は2026年5月(記事の掲載日は5月21日)。先代にあたるFara-7Bの後継世代として位置づけられている。

サイズは三つある。パラメータ数で4B・9B・27Bの三系統だ。いずれもAlibabaのQwen3.5を基盤(ベースモデル)にしており、Microsoftはその採用理由を、画面要素の位置把握(グラウンディング)と推論の能力が強い点に置いている。先代のFara-7BがQwen2.5-VL-7Bをベースにしていたことと比べると、世代がひとつ進んだ基盤に載せ替わっている。

三つのうち中心に据えられているのは9Bだ。公式はこの9Bを「ほとんどの用途に推奨」とし、性能とコストのバランスから配備(デプロイ)の良い選択肢だと説明している。最も大きい27Bはベンチマークでの最高値を狙う位置づけ、最も小さい4Bは軽さを優先する位置づけになる。

公開形態については、発表時点で9BがMicrosoft Foundry上で利用可能とされ、4Bと27Bは今後Foundryで提供予定と案内されていた。Fara1.5を動かすための推論ハーネス(インファレンスコード)はGitHubのmicrosoft/faraリポジトリで案内されているが、リポジトリのREADME上には「Fara1.5 agent harness coming soon」とする記載も残っているため、実際に動かす場合は最新のREADMEやブランチ、モデルの指定方法を確認する必要がある。なお、リポジトリで公開されている推論コード自体はMITライセンスだが、これはコードのライセンスであって、モデルの重みに付くライセンスとは別だ。重み(学習済みパラメータ)の扱いについては、報道ではオープンウェイトとして公開されたと伝えられているものの、Fara1.5の各サイズの重みに付くライセンスそのものは、本稿の調査時点で公式の配布ページ・ライセンス欄を直接は確認できていない。先代のFara-7BはMicrosoftがFoundryとHugging Face上でMITライセンスとして配布していたが、その扱いをFara1.5へそのまま当てはめるのは早計で、商用利用の可否を含めて実際の配布ページのライセンス欄を確認してから判断するのが安全だ。

仕組み:observe-think-actのループ

Fara1.5は、画面を「観測(observe)」し、次にどう動くかを「思考(think)」し、ひとつの操作を「実行(act)」する、というループを回しながらタスクを進める。これがobserve-think-actと呼ばれる動作様式で、推論と行動を交互に進めるReActエージェントの考え方に連なる。

入力 直近3枚のスクショ+履歴 観測 observe 画面を読む 思考 think 次の1手を決める 実行 act 1アクション 結果を見て次のループへ(数百ステップ) 安全機構 情報不足・曖昧・未許可の不可逆操作 → 一時停止して人間に確認
図: Fara1.5のobserve-think-actループ。各ステップで1アクションを予測し、不可逆操作の手前で停止する。

各ステップでモデルに渡される入力は二種類ある。ひとつはそれまでの会話履歴、もうひとつは直近のブラウザのスクリーンショット3枚だ。Fara1.5は画面のスクリーンショットそのものを視覚的に読み取って状況を把握する(ビジョン駆動)。HTMLの構造情報やアクセシビリティツリーを主軸にするのではなく、人間が見ているのとほぼ同じピクセル画像を手がかりにする。直近3枚という履歴の持ち方は、ページ遷移の前後関係や、自分が直前に押したボタンの結果を踏まえて次を決めるための構成になっている。

出力されるのは、その時点での思考(なぜその操作をするのかという内部の判断)と、次に取るたったひとつの操作だ。一度に複数の操作をまとめて吐き出すのではなく、1ステップにつき1アクションを予測する。アクションの種類は、マウスとキーボードの基本操作に加えて、Web検索のようなWeb特有の操作、そして長い手順の途中で重要情報を覚えておくためのコンテキスト管理の操作が含まれる。公式は、数百ステップにわたってタスクをこなす過程で必要な情報を文脈に保持するための内蔵ツールを備えていると説明している。長い手順では「何を探していたか」「どのページで何を確認したか」を見失いがちになるが、その忘却を抑えるための仕掛けが操作の選択肢に組み込まれているということになる。

このループは、MagenticLiteと呼ばれるサンドボックス環境の中で回る構成が示されている。許可リスト方式のナビゲーション、操作の監視モード、即時停止の制御、そしてDockerで隔離されたブラウザ環境(公式ブログではQEMUベースのサンドボックスとも説明される)を備え、エージェントが実際のWebを操作する際にログや人間による介入(割り込み)を挟める枠組みだ。

ベンチマーク結果の読み方

Fara1.5が話題になったのは、ベンチマーク上の数値が小さなサイズの割に高かったためだ。ただし、ここで測られているのが何なのかを最初にはっきりさせておきたい。中心になる指標はOnline-Mind2Webというベンチマークでのタスク成功率だ。Online-Mind2Webは、136の人気サイトにまたがる300のタスクで構成されると公式は説明している。「指示されたタスクを最後までやり切れたか」を成功・不成功で測るもので、応答の速さやページ表示の体感、特定の言語のUIでうまく動くか、といった別の次元を測るものではない。

公式ブログ記事のOnline-Mind2Web比較表は次のとおりだ。

モデル タスク成功率(Online-Mind2Web) 種別
Fara1.5-27B 72.0% Fara1.5(オンデバイス/セルフホスト想定)
Yutori Navigator n1 64.7%
Fara1.5-9B 63.4% Fara1.5(オンデバイス想定・推奨)
OpenAI Operator 58.3% クラウド型
Fara1.5-4B 57.3% Fara1.5(オンデバイス想定・軽量)
Gemini 2.5 Computer Use 57.3% クラウド型
Fara-7B(先代) 34.1% 先代(セルフホスト想定)

読み取れることはいくつかある。27Bは72.0%でこの表の中で最も高く、OpenAI Operator(58.3%)とGemini 2.5 Computer Use(57.3%)を上回っている。9Bは63.4%で、自身より大きいクラウド型の二つを上回り、先代のFara-7B(34.1%)からほぼ倍増している。注目に値するのは4Bで、57.3%とGemini 2.5 Computer Useに並ぶ水準を、わずか4Bのサイズで出している。Microsoftはこの結果を、9Bを「同サイズ帯で最先端」と位置づける根拠として示している。なお、27Bのスコアは資料によって表記が揺れる。技術報告(arXiv要旨)ではOnline-Mind2Webで72.3%、Microsoft Research Blogの別記事には90%超と読める記述もあるが、詳細な比較表を掲載するFara1.5公式記事では27B=72.0%とされている。本稿はこの数値表の値(72.0%)に統一して扱う。

別のブラウザ操作ベンチマークであるWebVoyagerでも、Fara1.5-9Bは86.6%、27Bは88.6%と報告されている。先代や同種の従来モデルが73.5〜80.2%前後だったことと比べると上振れしている。

なお、このFara1.5のベンチマーク表では比較対象としてOpenAIのOperatorが使われているが、OpenAI側ではOperatorは2025年7月にChatGPT agentへ統合され、単体のOperatorは段階的に終了するとされている。比較表の数値としては有効だが、現在の製品名・提供形態としては、ChatGPT agent側の文脈も合わせて見る必要がある。

ただし、この数値の高さがそのまま「ご自身の手元で、日本語のサイトを相手に、実用的な速度で動く」ことを意味するわけではない。Online-Mind2WebもWebVoyagerも、Microsoftが採用した既存のWeb操作ベンチマーク上での成功率であり、日本語のUIや日本国内のサービス、ベンチマークに含まれない独自のWebアプリでの安定性を直接保証するものではない。成功率(やり切れたか)と、応答時間(1ステップにかかる秒数)や安定性(同じタスクを何度やっても再現するか)は別の軸であり、ベンチマークが測ったのは前者だという点は押さえておきたい。

合成データ生成パイプライン:FaraGen1.5

Fara1.5の学習を支えているのが、FaraGen1.5と呼ばれる合成データ生成のパイプラインだ。操作エージェントを鍛えるには「ある指示に対して、どの順でどこをクリックして、最終的にどうなったか」という操作の軌跡(トラジェクトリ)が大量に要る。これを人手で集めるのは現実的でないため、生成と検証を自動化する枠組みが用意されている。

FaraGen1.5は三つの要素で構成される。ひとつ目は環境(environments)で、実際のライブWebと、ログインや取り消せない操作といった場面を模した6種類の合成Web環境(FaraEnvs)が使われる。二つ目はソルバー(solvers)で、教師役として大規模な外部モデル(MicrosoftはこれをGPT-5.4と呼んでいる)がタスクを解いて手本となる軌跡を作る。三つ目は検証器(verifiers)で、生成された軌跡を正確さ・効率・ユーザーとのやり取りの観点でふるいにかける。質の低い軌跡を学習データから弾くための仕組みだ。ログインや不可逆な操作を模した環境がわざわざ用意されているのは、後述する安全機構(危ない場面で止まる挙動)を学習させる狙いと結びついている。

動かし方の概観:どのサイズがどんなマシン向きか

Fara1.5を動かす経路は、提供元と配布形式によって変わる。発表時点で確実なのはMicrosoft Foundry経由で、9Bが利用可能、4Bと27Bは今後の提供予定と案内されていた。AzureのFara1.5-9Bモデルカードでは、テキストの指示と画像(ブラウザのスクリーンショット)を入力に取るマルチモーダルなWebエージェントで、ブラウザの状況把握はスクリーンショットのみで行う(HTML構造やアクセシビリティツリーに依存しないという意味でvision-only)と説明されている。Qwen3.5の9Bをベースに、262Kトークンのコンテキスト窓を持つ。一方、自分のGPUで動かすセルフホストについては、先代のFara-7Bでは、ベンチマークに忠実な挙動を狙うならvLLMでの自前ホストが案内され、量子化した重み(GGUF形式)をLM StudioやOllamaで動かす経路や、24GB以上のVRAMという目安も示されていた。ただし、Fara1.5でも同じ配布形式・同じ実行経路が公式に案内されているかは、本稿の調査時点では確認できていない。Fara1.5をローカルで動かす場合は、最新のハーネスと配布形式(重みのフォーマット、対応する実行環境)を確認したうえで進める必要がある。

サイズとマシンの対応は、Fara-7Bでの案内を踏まえると、ざっくり次のように考えられる。ただし具体的なVRAM要件は量子化の度合いや実装に左右され、Fara1.5での正式な配布形式も要確認のため、ここでの内容は目安であり、公式の各モデルカードの記載を実際に確認してほしい。

サイズ 位置づけ 向くマシン(目安)
4B 軽量・最小構成 VRAMの小さい消費者向けGPUでも動かしやすい。軽量さを生かしてローカルで試す用途に向く
9B 推奨フラッグシップ 消費者向けの中位GPUからセルフホストの現実的な狙い目。性能とコストのバランス重視
27B 最高精度志向 大きめのVRAMを積んだGPU、あるいはクラウド側での実行が無難

ローカルで動かすときに見落としやすい点がひとつある。Fara1.5は画面のスクリーンショットを視覚的に読み取るマルチモーダルのモデルなので、量子化版などを使う場合、言語側の重みだけでなく画像を扱うための視覚コンポーネントが揃っていないと、モデルは起動しても画面を「見られない」状態になり、画面操作のエージェントとしては機能しないことがある。どの配布形式でこの視覚側のファイルが要るかは実装に依存するため、ローカル運用では配布物に視覚コンポーネントが含まれているかを確認しておきたい。なお、ハードウェア構成の詳細な選定はソフトウェアの使い方の範疇を超えるため、ここでは深追いしない。ローカルで動かすコマンド実行型エージェントのマシン選びは、姉妹サイトのCline 推奨スペックの整理が参考になる。

安全機構と注意点

ブラウザを自動で操作させる以上、エージェントが「やってはいけないこと」をやってしまうリスクは避けて通れない。誤って購入を確定する、設定を消す、見当違いのフォームを送信する。こうした取り返しのつかない操作は、人間の代理として動くからこそ重い。

Fara1.5は、この危うさに対して「止まって人間に確認する」挙動を学習段階から組み込んでいる。公式の説明では、操作の途中で重要な分岐点を検知したときに一時停止して人間の介入を求める設計だ。具体的には、タスクを進めるのに必要な利用者の情報が足りないとき、指示が曖昧でどう解釈すべきか定まらないとき、そして利用者が明示的に許可していない不可逆な操作にさしかかったとき、Fara1.5は自分で進めずに確認を求めるよう訓練されている。先述したFaraGen1.5の合成環境にログインや不可逆操作の場面が含まれていたのは、まさにこの挙動を鍛えるためだ。なお、MicrosoftはFara1.5を安全性の文脈でresearch preview(研究プレビュー)と位置づけ、より堅牢な安全機構に取り組み続けるとしている。安全機構は完成形ではなく改善途上のものとして扱い、ベンチマークの成功率が高いことを本番での放任の根拠にしないのが前提になる。

とはいえ、安全機構があることと、運用上のリスクがゼロになることは別だ。実運用で注意したい点をいくつか挙げる。

  • ログイン情報の取り扱い。エージェントにログイン後の操作をさせる場合、認証済みのセッションやパスワードに触れる場面が出てくる。どのサイトに、どの権限で入った状態で動かすかは、人間側で線を引いておく必要がある。
  • サンドボックスでの実行。Fara1.5はMagenticLiteのようなサンドボックス化されたブラウザ環境での実行が前提として示されている。本番の環境や私的なアカウントに直接つなぐ前に、隔離された環境で挙動を確かめる運用が無難だ。コーディングエージェントを手元で安全に走らせる構えはClaude Codeを安全に自律実行する方法と共通する。
  • 確認停止は万能ではない。「不可逆な操作で止まる」のはあくまでモデルがその場面をそう判断できた場合の話で、判断を取りこぼす可能性は残る。重要な操作には人間の最終確認を別途挟む前提で組むのが安全側に倒した設計になる。失敗を前提に置く構えはAIエージェントのアーキテクチャ設計の考え方と地続きだ。
  • Web上の指示への追従。操作対象のページに、エージェントを誘導するような文言が埋め込まれているケース(プロンプトインジェクション)も想定される。画面を読んで動くモデルである以上、画面に書かれた指示と利用者の指示を取り違えるリスクは構造的に残る。

誰向けか、向かない用途は何か

Fara1.5が噛み合うのは、おおむね次のような場面だ。

  • クラウドの操作エージェントの従量課金を避けたい、あるいはタスク回数が多くてコストが読みにくいケース。ローカルで回せば1タスクあたりの呼び出し回数を気にせず試せる。
  • 操作対象のページに機微な情報が映るため、画面を外部に送りたくないケース。手元で完結させられれば送信範囲を自分で管理できる(ただし後述の条件付き)。
  • モデルの挙動を自分で観察・調整したい開発者や研究者。配布形式とライセンスを確認したうえでセルフホストできる環境が整えば、ステップごとの思考やアクションを観察して検証しやすい(実運用での挙動把握は本番AIエージェントの評価設計も参考になる)。
  • 小さなGPUしか持たない環境で、それでも操作エージェントを試したいケース。4Bや9Bは比較的軽い構成での実行を狙える。エージェント全体の組み方を見比べたいならAIエージェント構築フレームワークの比較もあわせて見るとよい。

一方で、次のような用途には素直には向かない。

  • セットアップに手をかけたくない、すぐに使い始めたいケース。サンドボックス環境の用意、GPUの確保、視覚コンポーネントを含む重みの配置など、ローカル運用には準備が要る。クラウド型のほうが立ち上がりは速い。
  • 取り返しのつかない操作を無人で任せきりたいケース。安全機構があっても、不可逆操作は人間の確認を挟む前提で組むべきで、完全放任には向かない。
  • 日本語のUIや日本国内のサイトでの実用性を、最初から保証された前提で使いたいケース。公開された情報は既存のWeb操作ベンチマーク上の成功率が軸で、日本語環境での挙動は別途自分で確かめる必要がある。

クラウド型(Operator / Gemini Computer Use)との違い

Fara1.5のようなオンデバイス/セルフホストを想定したモデルと、OpenAI OperatorやGemini Computer Useのようなクラウド型は、優劣というより性質の違いとして並べたほうが分かりやすい。

観点 Fara1.5(オンデバイス/セルフホスト想定) クラウド型(Operator / Gemini CU)
動作場所 手元のGPUやセルフホスト環境、またはFoundry経由 提供元のクラウド上で実行
重みの入手 報道では公開とされるが、ライセンス・配布形式は要確認 非公開。APIやアプリ経由で利用
課金 ローカルなら自前の電力・GPUコスト中心。回数課金になりにくい 多くは従量課金。長いタスクほど呼び出しが嵩む
データの送信先 ローカル完結なら送信範囲を自分で管理しやすい(Web検索機能は外部通信を伴う点に注意) 操作中の画面が提供元のクラウドへ渡る
セットアップ 環境構築が必要。立ち上がりは重い 申し込めばすぐ使える。立ち上がりは軽い
ベンチ成功率(Online-Mind2Web) 27B=72.0% / 9B=63.4% / 4B=57.3% Operator=58.3% / Gemini 2.5 CU=57.3%

ベンチマークの成功率だけを見ると、Fara1.5の27Bや9Bがクラウド型を上回っている。ただし前述のとおり、この数値は特定ベンチでのタスク達成度であって、運用のしやすさやサポート、日本語環境での安定性まで含んだ「総合的な使い勝手」を表すものではない。クラウド型は環境構築なしで使え、提供元によるメンテナンスや改善が継続する利点がある。Fara1.5は手元で動かせる自由度と、課金とデータ送信を自分の側で制御できる余地が利点になる。どちらを選ぶかは、コストとプライバシーの制御をどこまで自分で握りたいか、そしてセットアップの手間をどこまで許容できるかで決まる。開発まわりのAIコーディングツールの選び方と同じく、用途と運用体制から逆算するのが現実的だ。

なお、「ローカルだからデータが一切外部に出ない」と一括りにはできない点には触れておきたい。Fara1.5のアクション空間にはWeb検索が含まれており、検索を実行する場面では検索クエリが外部の検索サービスへ渡る。重みを手元に置くことと、動作中に一切の外部通信が発生しないことは別の話で、何を外に出さずに済ませたいのかを具体的に切り分けて運用する必要がある。

よくある質問

Fara1.5は無料で使えるのか

GitHubのmicrosoft/faraで案内されている推論コード自体はMITライセンスだが、これはコードのライセンスであって、モデルの重みのライセンスとは別だ。重みについては報道ではオープンウェイトとして公開されたと伝えられているものの、Fara1.5の各サイズに付くライセンスや商用利用の可否は、本稿の調査時点で公式の配布ページ・ライセンス欄を直接は確認できていない。先代のFara-7BはMITで配布されていたが、その扱いをFara1.5へそのまま当てはめるのは早計で、利用前に実際の配布ページのライセンス欄を確認するのが確実だ。なお、Microsoft Foundry経由で動かす場合は、そのサービス側の料金体系が別途関わる。

どのサイズを選べばよいか

公式は9Bを「ほとんどの用途に推奨」としている。性能とコストのバランスが取れたサイズという位置づけだ。最高精度を狙うなら27B、軽さを優先する、あるいは小さいGPUで試したいなら4Bという整理になる。4BでもOnline-Mind2Webでクラウド型のGemini 2.5 Computer Useに並ぶ水準(57.3%)を示している。

日本語のサイトでもうまく動くのか

公開されているベンチマーク(Online-Mind2Web、WebVoyager)は、Microsoftが採用した既存のWeb操作ベンチマーク上での成功率を測ったもので、日本語UIや日本国内サービスでの実用性・安定性を直接保証する情報は公式には示されていない。ベースがQwen3.5であることから日本語のテキスト自体は扱える見込みはあるが、画面操作エージェントとしての日本語環境での安定性は、ご自身の対象サイトで実際に試して確かめる必要がある。

ローカルで動かせばデータは外部に出ないのか

重みを手元に置いて推論をローカルで完結させれば、操作中の画面そのものを外部のクラウドへ送らずに済ませられる余地はある。ただしFara1.5の操作にはWeb検索が含まれ、検索を実行する場面では検索クエリが外部サービスへ渡る。「ローカル=一切の外部通信なし」ではないため、何を外に出したくないのかを具体的に切り分けて運用するのが前提になる。

参考資料

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