先に結論: 置き換えを判断する3つの材料
Gemini 3.7 Flash は 2026年8月13日に一般提供(GA)として公開された。すでに 3.6 Flash を本番のパイプラインに組み込んでいる場合、置き換えをいつ・どこまでやるかを決める材料は次の3点に整理できる。
- 公表されている性能差: Google はソフトウェア開発・ウェブ開発・業務ワークフロー・文書処理の指標で 3.6 Flash を上回る数値を公表している。いずれも Google が掲載・公表した値で、本記事で独立に再現したものではない。
- 料金: 2026年8月14日時点では、3.7 Flash と 3.6 Flash の標準ティアが同額で表示されている。100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドル(2026年12月31日まで)で、2027年1月1日からは両方とも入力1.50ドル・出力7.50ドルになる。
- 移行に必要な作業:
thinking_budgetの置き換えをはじめ、公式の移行チェックリストに沿った確認が要る。SDK 経由でも対象になる項目が含まれる。
つまり「新しい方が安い」という置き換えの理由は、現在の標準ティアの表示単価では成立しない。判断の実体になるのは、公表されている性能差が自分の用途と重なるかどうかと、移行で発生する API 非互換の量である。以下、この3点を順に確認する。
ここで扱うのは Gemini API 経由での利用を前提にした比較で、料金は同 API の料金ページに表示されている標準ティアの単価を見ている。提供面によって条件が変わる部分は、後半で経路ごとに分けて整理する。
何が変わったと公表されているか
Google は 3.7 Flash の発表にあたり、3.6 Flash との比較として次の数値を示している。
| ベンチマーク | 何を測る指標か | Gemini 3.7 Flash | Gemini 3.6 Flash |
|---|---|---|---|
| FrontierCode 1.1 Main | 実運用に耐えるコードの品質 | 43.6% | 34.4% |
| DeepSWE v1.1 | 長い工程のソフトウェア開発 | 65.3% | 49.0% |
| WebDev Arena(Elo) | ウェブ開発 | 1588 | 1538 |
| GDP.pdf | 複雑な文書の処理 | 34.0% | 22.0% |
| AutomationBench | 業務ワークフローの遂行 | 30.4% | 17.0% |
読み取れるのは、公表された5指標すべてで 3.7 Flash 側の数字が上回っていること、その範囲がコーディング(FrontierCode 1.1 Main・DeepSWE v1.1)、ウェブ開発(WebDev Arena)、業務ワークフローの遂行(AutomationBench)、複雑な文書の処理(GDP.pdf)に及んでいること、というところまでである。判断に使うなら、この5つの中に自分の処理に近いものがあるかを見る形になる。
数値はいずれも Google が掲載・公表したもので、本記事で独立に再現したものではない。公式のモデルカードは各指標について外部の評価か自社の評価かを区別して示してはいないため、どこまでが第三者による測定かはこの範囲では分からない。実施条件も発表されている内容の範囲でしか分からず、同じ指標名でもプロンプトの与え方や試行回数の扱いが違えば数字は動く。割合の差をそのまま実務での成功率の差として扱うこともできない。なお DeepSWE v1.1 の 3.6 Flash 側は、発表ブログが49.0%、モデルカードが48.6%と表記が分かれている(表の値は発表ブログのもの)。
表を横断して読むときの注意もある。WebDev Arena が Elo、それ以外が割合の指標で尺度が揃っていないため、指標をまたいで差を足し合わせたり、どの領域の差が大きいかを並べたりはできない。公表値から応答の速さや日本語の扱いといった別の軸の優劣を導くこともできず、手元の処理で同じ幅の差が出るかどうかもこの表からは決まらない。加えてこれは 3.7 Flash と 3.6 Flash の比較として示された組であり、他社モデルとの位置関係を示すものではない。
3.6 Flash 世代の中でのモデルの並びを先に確認しておきたい場合は、Gemini 3.6 Flash・3.5 Flash-Lite・3.5 Flash Cyberの違いで整理している。
料金は「新しい方が安い」ではない
公式ブログは 3.7 Flash の導入価格について、100万トークンあたりで 3.6 Flash の当初価格の半額にあたる、と説明している。3.6 Flash は2026年7月21日の公開時、100万トークンあたり入力1.50ドル・出力7.50ドルだった。その半額が 3.7 Flash の導入価格0.75ドル・3.75ドルにあたる。一方で 3.6 Flash 側の表示単価もいまは0.75ドル・3.75ドルに下がっており、比較の基準になっているのは当初価格であって、現在料金ページに出ている 3.6 Flash の単価ではない。ここを取り違えると、置き換えでコストが下がるという前提のまま見積もりを作ってしまう。
2026年8月14日に取得した Gemini API 料金ページの標準ティア表示は次のとおり。
| モデル / 期間 | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) |
|---|---|---|
| Gemini 3.7 Flash(2026年12月31日まで) | 0.75ドル | 3.75ドル |
| Gemini 3.7 Flash(2027年1月1日から) | 1.50ドル | 7.50ドル |
| Gemini 3.6 Flash(2026年12月31日まで) | 0.75ドル | 3.75ドル |
| Gemini 3.6 Flash(2027年1月1日から) | 1.50ドル | 7.50ドル |
導入価格の期間中、両者の単価は同じ数字で並んでいる。ここから出てくる実務上の含意は次の2つ。
- いま 3.6 Flash から乗り換えても、標準ティアのトークン単価は下がらない。同じ入出力量を流すかぎり、単価表を根拠にした請求額の見積もりは変わらない。
- 2027年1月1日の単価改定は、3.6 Flash に留まった場合も同じように来る。改定を避けるための置き換え先にはならない。
0.75ドル・3.75ドルはいずれも2026年12月31日までの表示で、2027年1月1日からは入力1.50ドル・出力7.50ドルになる。年明けをまたぐ期間のコストを見積もる場合、現在の単価をそのまま延長しない。
見積もりを作るなら、2026年12月31日をまたぐ期間は単価を分けて計算することになる。年内と年明けに同じ単価表を当てると、入力側で0.75ドルと1.50ドル、出力側で3.75ドルと7.50ドルの差がそのまま誤差として乗る。期間の長い契約や予算計画ほど、この分割を先に入れておく必要がある。
表示単価が同じであることは、3.6 Flash に留まる側の判断からも価格という理由を外す、という意味でもある。どちらを選んでも標準ティアの単価は同じなので、比較は性能差と移行コストの側だけで行うことになる。
この比較で見ているのは標準ティアの表示単価だけである。料金ページには 3.7 Flash の無料枠が入力・出力とも無料と示されており、バッチ処理は導入価格の期間中さらに割り引かれた単価で表示されている。無料枠で使える回数や速度の上限は料金ページ側の条件に従うため、試用できる範囲はそちらで確認することになる。また、ここで扱っているのは Gemini API の料金ページの表示であり、Vertex AI など他の提供経路の料金と利用可否は範囲外である。
料金ページの出力単価は思考トークンを含む表示になっている。3.7 Flash は thinking_level の既定が medium で、minimal は指定できない。単価が横並びでも、思考量の設定次第で課金対象の出力トークン量は動きうるため、単価が同じであることと請求額が同じであることは別に扱う。
従量課金そのものを避けて手元で動かす選択肢もあり、その場合に必要なPCの条件はローカルLLMとは?自分のPCでAIを動かす仕組み・必要スペック・始め方にまとめている。単価は請求額を決める要素の一つにすぎず、同じモデルでもリクエストの組み立て方で実際のコストは動く。単価が横並びの状況では、そちら側の余地の方が効く場面もある。LLM APIのプロンプトキャッシュでコストを削るで扱っている論点と併せて見る形になる。
移行で詰まるのはAPIの非互換
公式の移行ガイドには、3.7 Flash へ切り替える際に必要な変更がチェックリストとして挙げられている。ここで先に押さえておきたいのは、ガイドが Interactions API 向けと generateContent API 向けで別ページに分かれており、会話のつなぎ方の要件が違うという点である。どちらの API を使っているかと、SDK 経由か直接呼んでいるかは別の軸になる。以下は共通する項目から順に並べる。
- モデルIDを
gemini-3.7-flashへ更新する。呼び出し先の文字列を設定やテンプレートに埋めている場合は、その置き換えから始まる。 thinking_budgetをthinking_levelへ置き換える。指定できるのは low・medium・high の3段階(既定は medium)で、minimalを指定するとエラーが返る。トークン数で思考量を渡していた箇所は段階の指定に読み替える。- generation config から
temperature・top_p・top_kを外し、candidate_countも削除する。設定を共通処理で組み立てている場合、モデルごとに渡す項目を分ける必要が出る。 - 会話のつなぎ方を API に合わせて直す。どちらのガイドも prefilled model turns の削除を求める点は共通する。そのうえで Interactions API 向けのガイドはサーバー側の
previous_interaction_idへ統一するよう求め、generateContent API 向けのガイドは最終の user turn に空でないテキストを入れることを求めている。会話履歴をクライアント側で毎回組み立てて渡していた実装では、どちらの API でも手が入る。 - 関数呼び出しまわりを点検する。マルチモーダルの資産をレスポンスのペイロード内に置くこと、インラインの指示の整形、
Malformed_Function_Callエラーへの対処が挙げられている(呼び出しが落ちたときの切り分けはAIエージェントのツール呼び出しエラー処理で扱っている)。generateContent API を使う場合に限って、FunctionResponseにcall_idとnameを含める必要がある。 - SDK を更新し、thought signature の扱いを確認する。この項目については、移行ガイドが Gemini 3.5 の移行チェックリストを参照するよう案内している。
整理すると、モデルIDの更新・サンプリングパラメータと candidate_count の削除・thinking_level への置き換え・prefilled model turns の削除・関数呼び出しまわりの点検は、どちらの API でも対象になる。previous_interaction_id への統一は Interactions API 向けガイドの要件で、generateContent API 向けガイドはその代わりに最終 user turn の非空テキストを求めている。FunctionResponse の call_id と name は generateContent API を使う場合の項目である。これらはいずれも API の選び方による分岐で、SDK 経由かどうかとは別軸になる。ライブラリ側が旧来の引数を受け取れたとしても内部で新しいパラメータへ変換しているとは限らないため、SDK 側の対応状況はそれとして確認する。
サンプリングパラメータ temperature・top_p・top_k の非推奨は、3.7 Flash で急に始まったものではない。2026年7月21日の Gemini 3.6 Flash 公開時点のリリースノートで、すでに非推奨として告知されている。3.6 Flash へ移った時点でこの3つを外していれば、今回の作業はその分だけ減る。ただし candidate_count はこの3つに含まれないため、別に外す必要がある。
作業の順番としては、該当箇所の洗い出しから入ることになる。モデルIDを書いている箇所はどこか、thinking の指定をどこで組み立てているか、generation config を作る共通処理はどこにあるか、FunctionResponse を返している箇所はいくつあるか、会話履歴をどこで保持しているか。チェックリストの各項目を自分の実装に当てて列挙してから着手すると、置き換え漏れによる実行時エラーを減らせる。思考量の指定を設定ファイルや環境変数から与えている構成では、値の検証側も更新しないと、旧来の数値がそのまま渡ることになる。
切り替え後に見ておきたいのは、関数呼び出しの往復が最後まで通るかと、複数ターンの会話が途切れずにつながるかである。どちらもパラメータ単体の修正では表に出にくく、通しで動かして初めて分かる部分にあたる。切り替え前後で挙動を追う仕組みそのものはLLMモニタリングツールの選び方で整理している。
書き換えの量は実装の作り方に左右される。会話履歴の管理と関数呼び出しを自前で組んでいるほど、触る範囲は広くなる。逆に、関数呼び出しも履歴の引き回しも使わず単発のテキスト生成を投げているだけなら、該当するのはモデルIDの更新、thinking の指定、サンプリングパラメータと candidate_count の削除に絞られる。置き換えの是非を検討する前に、チェックリストの各項目のうち何件が自分の実装に当たるかを数えておくと、判断の材料がそろう。
どこで使えるか
提供面は経路ごとに条件が異なる。公式発表とドキュメントで示されているのは次のとおり。
- 開発者向け: Gemini API、Google AI Studio、Android Studio、Google Antigravity
- 企業向け: Gemini Enterprise Agent Platform、Gemini Enterprise アプリ
- Gemini アプリ: アプリ内では Spark という名称で提供される
Gemini API の Antigravity Agent(antigravity-preview-05-2026)は、agent_config を省略した場合の既定モデルが gemini-3.7-flash になっている。これは API 上の managed agent についての記載で、Antigravity IDE 側の既定モデルについては公式ドキュメントに記載を確認できていないため、実際に使っている画面で選択中のモデルを確かめることになる。
Gemini アプリの Spark は段階的に展開されており、加入プランで対象地域が異なる。公式ヘルプの日付つきの記載では、2026年7月14日に Google AI Ultra 向けが Gemini アプリの対応地域へ広がり(欧州経済領域・ナイジェリア・スイス・英国は除く)、2026年7月16日に Google AI Pro 向けが米国・英語で提供開始となっている。日本は Ultra 側の対象地域に含まれる。実際に使えるかどうかはプランと地域の組み合わせで決まるため、公式ヘルプと自分のアカウントで確認する。
経路をまたいで「同じ条件で使える」とは書けない。API を叩く側とアプリ側は、利用できる状態かどうかを別々に確認する必要がある。
前の節で見た単価も Gemini API 経由の表示であり、Gemini アプリや Enterprise 側の提供条件とは別に見ることになる。この一覧は公式発表とドキュメントで提供が示されている経路で、Vertex AI 経由の提供状況は本記事の確認範囲外である。
エージェントの実行環境そのものの前提については、AIコーディングエージェントのサンドボックスはどこまで守るかで別途扱っている。
仕様の差分: 上限は 3.6 Flash と同じ、出力はテキストのみ
3.6 Flash からの置き換えで影響が出やすい仕様を並べる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデルID | gemini-3.7-flash |
| 入力トークン上限 | 1,048,576 |
| 出力トークン上限 | 65,536 |
| 入力の種類 | テキスト、画像、動画、音声、PDF |
| 出力の種類 | テキストのみ |
| thinking | low・medium・high の3段階(minimal はエラー) |
| 対応機能 | 関数呼び出し、構造化出力、検索グラウンディング、Maps グラウンディング、キャッシュ、コード実行、File search、URL context、Batch API、Flex 推論、Priority 推論 |
| プレビュー扱い | computer use |
入力トークン上限1,048,576・出力トークン上限65,536は、2026年7月21日に一般提供として公開された 3.6 Flash と同じ値である。上限が変わらないため、コンテキスト長を基準にした入力の分割方針や、長い文書をまとめて渡す設計は同じ条件のまま比較できる。
出力はテキストのみで、画像生成・音声生成・Live API には対応しない。これらを含む経路を 3.7 Flash 単体で置き換えることはできず、その部分は別の構成が要る。
thinking は low・medium・high の3段階で指定する。minimal は受け付けず、指定するとエラーが返る。段階の値を設定ファイルやテンプレートに埋め込んでいる場合は、そこも移行の対象になる。思考量をどこまで使わせるかという設計はAIエージェントの自律ループ設計でも扱っている。
対応機能の一覧は、自分の実装が依存している機能と突き合わせる材料でもある。構造化出力を組み込んでいる場合の作り方はLLMの構造化出力を安定させる実装で扱っている。検索グラウンディングやキャッシュ、Batch API を組み込んでいるなら、それらが一覧に含まれていることを確認してから切り替える。なお computer use はプレビュー扱いで、本番の処理を前提に数えられる機能ではない。
いつ置き換えるかの判断
ここまでの材料から、判断軸は3つに絞れる。
- 用途の重なり: 公表されているのはコーディング・ウェブ開発・業務ワークフロー・文書処理の5指標。この中に自分の処理に近いものがあるかどうか。
- 単価: 2026年8月14日時点の標準ティア表示では差がない。単価を根拠にした置き換えの前倒しは成立しない。
- 移行コスト: モデルIDの更新、thinking の指定、サンプリングパラメータと
candidate_count、会話の持ち方、関数呼び出しと SDK 側の確認。手を入れる箇所の数がそのまま作業量になる。
なお、テキスト以外の出力や Live API を含む経路は、その部分を 3.7 Flash で置き換えることができない。これは時期の問題ではないため、置き換える対象をテキスト生成の部分に切り分けたうえで、下の2つに当てはめることになる。
早めに置き換えた方がよいケース
- 表にある5指標の中に自分の処理に近いものがある(コーディング・ウェブ開発・業務ワークフロー・文書処理)
- これから新規に API を組む。既存コードの書き換えが発生しないため、確認する差分は仕様と非対応の出力だけで済む
- Gemini API の Antigravity Agent を既定設定のまま使っている。この場合はそもそも 3.7 Flash が既定で動くため、API 側の置き換え判断が発生しない
置き換えを急がなくてよいケース
- 目的が単価の削減。標準ティアの表示単価は同じで、2027年1月1日の改定も両方に来る
- 会話履歴を prefilled model turns で組み立てている、関数呼び出しを広く使っているなど、書き換えの範囲が大きい
- SDK 経由で使っていて、SDK 側の対応状況をまだ確認できていない
順序としては、表にある指標の中に自分の処理に近いものがあるかを先に見る。近いものがなければ、この表からは動かす理由が出てこない。ある場合に移行コストを数え、書き換えが小さければ切り替えて出力を比べ、大きければ比較を済ませてから作業に入る。単価が同じである以上、この順序を崩してまで急ぐ状況にはならない。公式の提供終了予定の一覧でも、2026年8月14日時点では 3.6 Flash・3.7 Flash のどちらにも提供終了日が告知されていない。移行を外から急がせる期限は、現時点では示されていないことになる。
公式の移行ガイドは、3.7 Flash が一般提供で実務投入できる状態にあると記載している。ただしこれは提供状態についての記載であり、個々の用途での適合性を保証するものではない。ベンチマークの数値も Google が掲載・公表した値であるため、品質差の確認は手元の入力で比べるところから始めることになる。同じプロンプトを両方に流して出力を並べる工程を移行作業の前に置いておくと、切り替えの根拠が自分の側に残る。
他社のモデルも含めて選び直す局面であれば、GPT-5.6はSol・Terra・Lunaのどれを選ぶかのような、同一世代内での選び分けの整理も併せて参照できる。
確認した公式情報(2026年8月14日時点)
本記事の料金・仕様は2026年8月14日に各公式ページで確認した内容に基づく。確認先は、Google の公式ブログ(3.7 Flash と 3.6 Flash の発表)、Gemini 3.7 Flash と 3.6 Flash のモデルページ、Gemini API の料金ページ、移行ガイド、リリースノート、提供終了予定の一覧、Antigravity Agent のドキュメント、Gemini アプリのヘルプである。
とくに料金は期限付きの表示である。0.75ドル・3.75ドルは2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日からは1.50ドル・7.50ドルに変わる。提供面や対応機能も更新されることがあるため、実際に組み込む前には料金ページとモデルページで最新の表示を確認する。
モデルページの対応機能や thinking の扱いは、公開後に追記されることがある。ここでの判断は取得時点の表示に基づくものであり、時間を置いてから作業に入る場合は、同じページを開き直すところからになる。
よくある質問
3.6 Flash から替えるとトークン単価は下がるか
標準ティアの表示単価では下がらない。2026年8月14日時点の料金ページでは、3.6 Flash と 3.7 Flash の単価が同じ数字(100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドル)で表示されている。公式ブログの「当初価格の半額」は、3.6 Flash が公開された時点の1.50ドル・7.50ドルを基準にした表現で、いま並んでいる両者の表示単価を比べたものではない。なお出力単価は思考トークンを含む表示のため、単価が同じでも思考量の設定によって請求額は動きうる。
既存のコードはそのまま動くか
書き換えが要る。移行ガイドには、モデルIDの更新、thinking_budget から thinking_level への置き換え、サンプリングパラメータと candidate_count の削除、prefilled model turns の削除、関数呼び出しまわりの点検、SDK 更新と thought signature の保持が挙げられている。会話のつなぎ方だけは API で分かれ、Interactions API 向けガイドは previous_interaction_id への統一を、generateContent API 向けガイドは最終 user turn に空でないテキストを入れることを求める。FunctionResponse の call_id と name は generateContent API を使う場合の項目になる。SDK やラッパー経由の場合も、その層の対応状況と併せて確認する。
無料枠で試せるか
試せる。料金ページには 3.7 Flash の無料枠が示されており、入力・出力とも無料と表示されている。ただし利用できる回数や速度の上限は料金ページ側の条件で決まるため、そこは実際に組み込む前に確認する。有料で大量に流す場合は、導入価格の期間中さらに割り引かれたバッチ処理の単価が別に表示されている。
年明けに何が変わるか
2027年1月1日から、標準ティアの単価が100万トークンあたり入力1.50ドル・出力7.50ドルになる。3.6 Flash に留まった場合も同じ改定が入るため、単価改定が置き換えの期限にはならない。
まとめ
- 置き換えの理由を単価差に置けない。2026年8月14日時点の標準ティア表示では 3.6 Flash と 3.7 Flash の単価は同じで、2027年1月1日の改定も両方に来る。出力単価が思考トークンを含む表示である点は、請求額を見積もるときに別に効く。
- Google が公表したのは、コーディング・ウェブ開発・業務ワークフロー・文書処理の5指標。いずれも Google が掲載・公表した値で本記事では独立に再現していないため、その差が手元の処理でも出るかは用途ごとの比較で決める。
- 判断の実体は移行コスト。モデルIDの更新、thinking の指定、サンプリングパラメータと candidate_count、会話の持ち方、関数呼び出しと SDK 側の確認に、どれだけ手が入るかを数えてから切り替え時期を決める。
参考資料
- Gemini 3.7 Flash 公式発表(Google)
- Gemini 3.7 Flash モデルページ(Google AI for Developers)
- Gemini API 料金(Google AI for Developers)
- 移行ガイド: What’s new in Gemini 3.7 Flash
- Gemini API リリースノート
- Gemini 3.6 Flash 公開時の発表(Google)
- Gemini API モデルの提供終了予定
- Antigravity Agent ドキュメント(Google AI for Developers)
- Gemini Spark の提供状況(Gemini アプリ ヘルプ)
- 移行ガイド(generateContent API 版)
