GLM-5.3が使える経路は3つ、開いていないのはウェイト
GLM-5.3 に手を出す道は3つある。定額の GLM Coding Plan、公式ハーネス ZCode の初回5日間の無料枠、そしてトークン単価で払う Model API。ウェイト(モデル本体のパラメータ一式。配布されれば手元やサーバーで動かせる)だけが開いていない。
| 経路 | 入口 | 対応状況 |
|---|---|---|
| GLM Coding Plan(定額) | 対応ツールへの接続設定とモデル指定(Claude Code なら glm-5.3[1m]) | 提供中。開始日は報道が2026年8月14日、公式リリースノートの GLM-5.3 の項は 2026-08-18 で食い違う |
| ZCode(初回無料枠) | GLM-5.3 の公式ハーネス。初回利用者は5日間の無料枠、以降は Coding Plan の契約で使う | 提供中。無料枠は5日で失効 |
| Model API(トークン単価) | 従量課金のエンドポイントへ直接リクエストを送る | 2026年8月19日時点で提供済み(アカウント別のプロトコル制限あり、後述) |
| ウェイト | ダウンロードして手元やサーバーで動かす | 未公開 |
待ちはウェイトだけではない。過去に GLM Coding Plan を契約したことがあるアカウントは、期限が切れている場合を含めて、現時点では Model API を OpenAI Chat Completion 互換のプロトコルからしか使えないと案内されている。モデルページは3つのプロトコルを挙げているが、全アカウントが3つとも使えるわけではない。Anthropic Message 形式や OpenAI Response 形式を前提に書いたコードは、この条件に当たるなら書き換えが要る。同じ案内には今後の更新で改善するという一文も付く。時期は示されていない。
モデル自体の仕様は、テキスト入力のみ、コンテキストが100万トークン、最大出力が128Kトークン。画像をモデル本体に直接読ませる構成は現状では取れず、画像は Vision Understanding MCP か別のモデルへ回すことになる。
Coding Plan の枠は、公式にサポートされたツール・製品の内側で使う前提になっている。枠を対応ツールの外へ持ち出すことはできず、自前のコードから叩く場合は別勘定の Model API になる。クイックスタートが挙げているのは Claude Code・Roo Code・Kilo Code・Cline・OpenCode・OpenClaw・Crush・Goose・Cursor ほか。「Other Tools」のページも一覧の続きで、開いた例外枠ではない。どのコーディングツールに挿すかから先に決める場合は、その候補がこの一覧に入っているかが最初の条件になる。
もう一点、接続設定を写しただけでは GLM-5.3 を指定したことにならない。手順ページの設定例では OPUS・SONNET・HAIKU の3枠とも GLM-4.7 を指したままで、そのまま起動すれば GLM-4.7 が応答する。5.3 を使うにはモデル名の指定が別に要る。
寄せる価値が出るのはどんな作業か
寄せる価値が出やすい作業には共通点がある。Claude Code・Cline・Cursor といった対応ツールで日常のコーディングを回していること、平日15:00〜19:00 のピーク帯を外して走らせる余地があること、画像入力を挟まないこと。月額を先に固定したうえで、消費の目安を手元で計算しておきたい向きにも合う。
Claude を主に置いたままのほうが収まる状況も4つある。上限に当たったあともキーとエンドポイントを差し替えずに続けたい場合、画像をモデル本体に読ませる工程がある場合、自作のコードから定額枠を叩きたい場合、社外にコードを出せない場合。上限に当たったあとの続け方については、どちらにも道が用意されている。分かれるのは手を動かすかどうかで、Claude は同じ契約の内側で従量課金へ滑り込み、GLM はキーとエンドポイントを差し替えて Model API へ移る形になる。
精度については、掲載値から言い切れる範囲が狭い。Z.ai の Code Bench で GLM-5.3 と並べられている相手は Claude Fable 5 と Claude Opus 4.8 で、Claude Pro や Max で日常的に使う Sonnet 5 や Opus 5 の行はない。いま Sonnet 5 で回している作業がどうなるかは、掲載値からは決まらない。以下の節では、この方向づけの根拠と条件を料金・精度・接続の順に開いていく。
料金と枠の決まり方
以下のプラン名とクレジット枠は Individual、つまり個人向けの体系。Team Plan は別の枠組みになるので、表の後ろにまとめる。
| プラン(Individual) | 月額(定価 / 割引適用時) | 5時間クレジット | 週次クレジット |
|---|---|---|---|
| Lite | 18ドル / 12.6ドル | 2,000 | 10,000 |
| Pro | 80ドル / 56ドル | 12,000 | 60,000 |
| Max | 168ドル / 117.6ドル | 28,000 | 140,000 |
ZCode のプラン表は Pro を Lite の6倍、Max を14倍の利用量と表示しており、この倍率はクレジット枠と一致する。揃わないのは価格の伸び方で、定価どうしなら Pro が Lite の約4.4倍、Max が約9.3倍。同じページには、価格とプラン内容は変わることがあり最終的な内容は z.ai の表示による、という注記も付いている。
5時間クレジットは消費から5時間後にリセットされ、週次クレジットは7日ごとに戻る。週枠は5時間枠のちょうど5本分にあたり、Individual の3プランともこの比率で揃う。上位プランで増えるのは回せる時間ではなく、5時間あたりに押し込める量のほう。クレジットは時間ではなく消費量で減るので、週枠が何時間ぶんに相当するかはタスクの重さで変わる。
Team Plan は別体系で、Standard Seat が5時間15,000・週66,000、Premium Seat が35,000・155,000。週枠は約4.4本分で、Individual の5本分とは比率も異なる。管理者が on-demand overage をあらかじめ有効にしておけば、シートが枠を使い切っても超過分の課金で継続できる。この超過分はモデル API 定価の10%引きと案内されているが、期間限定の扱い。
プランを分ける軸は枠の大きさだけではない。Lite には最新モデルへの順次アクセスと既定のデータ扱いが付き、Pro ではそれに優先アクセス・選定された MCP ツール・生成速度の向上が加わり、Max ではさらに最新モデルへの先行アクセスとピーク時の専有リソースが加わる。Vision Understanding・Web Search・Web Reader・Zread の4つはどのプランでも使えるので、Pro 以上で加わるのはその上に載る選定ツールのほう。モデルの種類でも差は付かず、GLM-5.3・GLM-5-Turbo・GLM-4.7 は全プランが対象になっている。
クレジットの減り方は公開されている。モデル利用は「(入力トークン × 入力係数 + キャッシュ入力トークン × キャッシュ入力係数 + 出力トークン × 出力係数)÷ 10,000」という加重和。Z.ai が同梱している MCP サーバーのうち Web Search・Web Reader・Zread には別の式が当てられていて、こちらは「呼び出し回数 × 出力係数」で、÷10,000 が掛からない。
| モデル / ツール | 入力係数 | キャッシュ入力係数 | 出力係数 |
|---|---|---|---|
| GLM-5.3 | 6.9 | 1.7 | 24 |
| GLM-5-Turbo | 5.7 | 1.5 | 21 |
| GLM-4.7 | 4.6 | 1.2 | 16 |
| GLM-4.6V(Vision MCP。回数ではなくトークン係数で計算) | 1.2 | 0.3 | 2.7 |
| Web Search / Web Reader / Zread(回数課金) | — | — | 1.2 |
時間帯も係数として効く。ピーク時間帯は平日14:00–18:00(シンガポール標準時 / UTC+8)と定義されていて、日本時間に直すと平日15:00–19:00 の4時間。土日を含むそれ以外の時間帯では、モデル利用分が標準のクレジットレートの50%で課金される。この割引はプランを問わず同じに掛かる。
GLM-5.3 の出力係数24で計算すると、1タスクあたり出力75Kトークンなら出力分だけで180クレジット、50Kなら出力分だけで120クレジット。Lite の5時間枠2,000は出力75K換算で約11回、Pro の12,000は約66回、Max の28,000は約155回にあたる。出力50Kのタスクなら Lite で約16回。Lite の週枠10,000で見ると、出力75Kと50Kの間でおおむね55〜83回になる。
回数課金の MCP は、この式の外で別に積み上がる。出力係数1.2 は1回あたり1.2クレジットにあたるので、150回ほど呼べば出力75Kのタスク1本分の180クレジットに並ぶ。無視できる量ではない。
消費を読むために測る対象は3系統になる。入力・キャッシュ入力・出力の各トークン量、回数で課金される同梱 MCP(Web Search・Web Reader・Zread)の呼び出し回数、そして走らせる時間帯。エージェント運用では毎ターン文脈を積み直すので入力側が出力側を上回ることもあり、出力トークンだけを見ていると消費を小さく見積もる。
Individual で5時間の上限に当たった場合、次のサイクルでリフレッシュされるまで待つ形になり、アカウント残高からは差し引かれない。週次クレジットは注文時点を起点に7日周期で戻るが、週枠を先に使い切った瞬間に固有の扱いは同 FAQ からは読み取れない。Team では管理者が overage を有効にしていれば超過分の課金で使い続けられるので、この待ちは Individual の話になる。
消費に直結する設定がもう一つある。GLM-5.3 は推論の深さを reasoning_effort というリクエスト側のパラメータで受け取り、値は low(軽量)・high(強化)・max(深い推論)の3段。既定は max で、コーディングのような複雑なタスクには max が推奨されている。推論そのものを無効化することはできない。既定が最も食う段に置かれている以上、180クレジットと120クレジットの差はそのまま枠の減り方の差になる。
Claude Code のセッション内では /effort コマンドで推論の強度を切り替えられ、設定は /status で確認する。最新モデル切り替えページには、クライアントが送る値と GLM 側の段の対応表が載っている。
| クライアントが送るフィールドと値 | GLM 側で適用される段 |
|---|---|
| reasoning_effort が minimal / light / low | low |
| reasoning_effort が medium / high | high |
| reasoning_effort が xhigh / max / ultra | max |
| reasoning_effort が解釈できない値 | max |
| thinking のトグルが 未設定 / true / enabled / adaptive | max |
| thinking のトグルが false / disabled / none / off | low |
優先順位は、明示的な effort 指定、thinking のトグル、既定の max の順。フィールドの担当も分かれていて、Claude Code は thinking.type と output_config.effort、Codex は reasoning.effort を使うと書かれている。effort 値の側の対応で読むと、中段のつもりで medium を選んでも GLM 側は high、max を避けて xhigh にしても max に畳まれる。Claude Code の /effort が乗る output_config.effort に同じ変換が掛かるかは公式に明記が無いので、指定した名前と適用される段が一致しない前提で扱い、実際の消費で確かめることになる。なお、表にある minimal・light・ultra は Anthropic の effort 値には無く、/effort からは打てない。
他社と並べるといくら違うか
トークン単価で払う場合の並びから見ていく。
| モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) |
|---|---|---|
| GLM-5.3 | 1.4ドル | 4.4ドル |
| Claude Haiku 4.5 | 1ドル | 5ドル |
| Claude Sonnet 5 | 2ドル | 10ドル |
| Claude Opus 5 / Opus 4.8 | 5ドル | 25ドル |
| Claude Fable 5 | 10ドル | 50ドル |
GLM-5.3 のキャッシュ入力は0.26ドルで、この3つの値は前世代 GLM-5.2 と同額に置かれている。従量課金の料金感やデータの取り扱いといった 5.2 と共通する部分はGLM-5.2をクラウドで使う場合の整理のほうで扱っている。Claude 側で更新があったのは Sonnet 5 の2ドル / 10ドルで、ローンチ時には2026年8月31日までの導入価格として案内されていたが、9月1日に予定されていた引き上げは取り下げられ、現在は標準価格として掲載されている。
定額で払う場合はどうか。GLM Coding Plan の Lite が月18ドル(割引適用時12.6ドル)、Claude Pro が月20ドル、年払いなら月17ドル。定価どうしなら入口はほぼ横並びで、割引後で見ると12.6ドルと17ドルで差が付く。GLM の Pro 80ドルと Max 168ドルは、月100ドルから始まる Claude Max の帯と重なる。Claude Max は Pro の5倍か20倍の利用量を選ぶ形で、利用上限があること、価格とプランが変更されうることも注記されている。金額が近くても、回せる量まで揃うわけではない。
その月額で届く最上位モデルも同じではない。Claude Pro プランと Claude の標準シートでは Fable 5 がプランの利用枠に含まれず、使うには usage credits が別に要る。Claude Max プランと Claude のプレミアムシートなら、週次の利用枠の50%までを Fable 5 に充てられる。Z.ai の Code Bench で GLM-5.3 の34.5%を上回る39.5%を出しているのがこの Fable 5 で、月20ドルの側からは追加の支払いなしに届かない。
同じ月額帯でも性格が分かれるのは、消費を事前に読めるかどうか。Z.ai はクレジットの計算式・モデルごとの係数・プラン別の枠・時間帯の割引率を公開しているので、前掲と同じ条件の数字で、出力分だけの上限値として出力75Kのタスクが180クレジット、Lite の週枠10,000なら約55本、という計算が手元でできる。Anthropic も数字を出していないわけではない。セッション単位の利用上限が5時間ごとにリセットされること、Max プランには全モデルにまたがる週次の上限があること、Max 5x は Pro の5倍・Max 20x は20倍のセッション利用量であること、Fable 5 に充てられるのは Claude Max プランの週次上限の50%までであること。価格ページにもヘルプセンターの利用上限の記事群にも見当たらないのは、トークン量からプラン枠の消費を割り出す計算式とモデル別の係数のほうで、正確なメッセージ数も示されていない。消費を左右する要素としてメッセージの長さ・添付の大きさ・会話の長さ・ツール利用・モデル・effort の水準は挙げられているが、そこから本数を逆算する手立てには届かない。
枠の切り方そのものは、どちらも5時間と週次で揃っている。違うのは単位で、数えられるクレジットと係数が公開されている側と、そこまでは公開されていない側に分かれる。並べて比べられるのは、いくら安いかより先に、事前に見積もれるかどうか。
上限に当たったあとの続け方が分かれる。Claude は usage credits を有効にしておけば同じ契約の内側で標準の API レートの従量課金へそのまま滑り込む。GLM は Individual なら次のサイクルまで待つ形で、Model API へ移せば続けられるが、別キー・別エンドポイント(https://api.z.ai/api/paas/v4)へ手で移す必要があり、Coding Plan を契約したことがあるアカウントは移った先が OpenAI Chat Completion 互換に限られる。分かれ目は止まるかどうかではなく、続きが同じ契約の内側で自動的に載るか、キーとエンドポイントを手で差し替えるか。月額を固定したいか、差し替えの手間を省きたいかの分岐にあたる。Claude 側の残量は設定画面の Usage で5時間枠と週次枠それぞれについて確認できる。
精度はフロンティアからどれだけ離れているか
以下の数値はすべて Z.ai が自社ページに掲載した値で、第三者の検証ではない。並べられている相手も Claude Fable 5・Claude Opus 4.8・Mythos 5・GPT-5.6 Sol で、Claude Pro や Max の常用モデルにあたる Sonnet 5 や Opus 5 との直接比較は掲載値に無い。いま Sonnet 5 で回している作業がどうなるかは、この表からは決まらない。
Z.ai Code Bench の掲載値では、最大設定の Claude Fable 5 が39.5%で、GLM-5.3 の34.5%を上回る。一段下げた設定の GLM-5.3 は約50Kの出力で31.4%、公式はこれを120Kの出力で29.5%の Claude Opus 4.8 を上回るとしている。
この2行目には読み方の条件が付く。effort が明記されているのは GLM-5.3 の2段と Fable 5(at Max effort)で、Opus 4.8 がどの effort で測られたかは書かれていない。Opus 4.8 の effort は low / medium / high / xhigh / max をサポートし、API の既定は high。Anthropic はコーディングやエージェント用途の出発点として xhigh を勧めているので、仮に既定の high で走らせた値だとしても推奨より下の設定にあたる。Claude 側を上限設定で走らせた比較としては読めない。
50Kと120Kという出力量の対比にも同じことがいえる。Claude 4.7 以降が別のトークナイザーを使う以上、トークン数をそのまま突き合わせる形は成立せず、少ない出力で上回った、という読み方はできない。
サイバーセキュリティ系では並びが変わる。CyberGym は GLM-5.3 が84.5%で、Mythos 5 の83.8%、GPT-5.6 Sol の83.6%を上回る。ExploitBench は GLM-5.3 が54.4%、Mythos 5 が78.0%、GPT-5.6 Sol が76.5%。前世代比では CyberGym が77.2%から、ExploitBench が24.4%から伸びている。同じ相手と並んでいても項目ごとに測っている内容が違うので、順位が入れ替わったとは読めない。いずれも Z.ai の掲載値。
Code Bench の数値で見るかぎり、GLM-5.3 はフロンティアの一段下に位置する。項目によって開き方は変わり、ExploitBench ではさらに開く一方、CyberGym は掲載値で他社列を上回る。費用との突き合わせは払い方で相手が変わる。単価で払うなら比較の相手は前掲の単価表、月額で払うなら今契約しているプランのほう。
数字を並べるときに踏みやすい箇所がもう一つある。GLM-5.3 のページには Terminal Bench 3.0 が4.6から28.3へ、DeepSWE v1.1 が46.2から66.9へ上がったと出ている。いずれも GLM-5.2 との比較で、版を揃えた比較として成立するのは Terminal Bench 3.0 の4.6と28.3のあいだ。GLM-5.2 のページには Terminal-Bench 2.1 で81.0(Claude Opus 4.8 は85.0)、SWE-bench Pro で62.1 という値が載っているが、2.1 の81.0 と 3.0 の28.3 は別の版のスコアで、同じ軸に並べて増減を語る形は成り立たない。
2.1 の81.0 と 3.0 の28.3 を並べて上がった・下がったと書いている比較を見かけたら、それは別の版どうしを並べたもので、乗り換えの根拠には使えない。
Z.ai の説明では、変わったのは学習の後半だけ
乗り換えを考える側には、前世代の評判をそのまま 5.3 の下限として引き継げないという点が効く。
Z.ai は、GLM-5.3 が GLM-5.2 と同じベースモデルを使い、改善はすべて post-training によるものだと説明している。post-training は事前学習のあとに行う訓練工程で、指示追従・出力形式・ツール利用の作法といった挙動を調整する。プロンプトの効き方を決めるのはこの側なので、5.2 向けに詰めたプロンプトが 5.3 で同じ効き目を保つ保証はない。据え置きと見てよいのは規模の見当であって、挙動ではない。
その規模については、GLM-5.3 のドキュメントにパラメータ数の記載がない。同じベースとされる GLM-5.2 が Hugging Face の zai-org で753Bとして公開されているので、その値が目安になる。5.3 側のウェイトが出ていない以上、構成が本当に同一かを外から確かめる手立てはない。
後半の訓練で何が動いたかは、Z.ai 自身のコーディング評価に表れている。GLM-5.3 は1タスクあたり約75Kの出力トークンで34.5%、GLM-5.2 は96Kで23.4%。出力を減らしながらスコアを上げた形で、クレジットの計算式でいえば出力側の項が小さくなる方向にあたる。同じ評価には出力を抑えた設定の数値もあり、消費との兼ね合いは前掲の180クレジットと120クレジットの差に現れる。
既に GLM-5.2 を使っている場合は、扱いがもう一段変わる。Coding Plan では GLM-5.2 / GLM-5.1 を指定したリクエストも自動的に GLM-5.3 へ振り替えられるので、名指ししたまま契約しても前世代が返ってくるわけではない。この2つは振替の対象なので、直接指定できる3モデルの外には当たらない。従量課金の価格表のほうには GLM-5.2 の行が残っている。
ウェイトは安全性評価の後ろに置かれている
Z.ai はローンチから約2週間後に、安全性評価とハードニングを経てウェイトを公開すると説明したと報じられている。2週間の起点はローンチで、評価を終えたのちの2週間ではない。報道が伝えるローンチ日の2026年8月14日から数えれば8月末が目安にあたり、公式リリースノート側の日付を起点に取れば9月頭にずれる。カレンダー上の確定日は示されていない。
現時点で Hugging Face の zai-org にも GitHub の zai-org にも GLM-5.3 のリポジトリは見当たらず、並んでいるのは GLM-5.2 以前。公開の合図は、zai-org で GLM-5.3 が一般公開されること。
公開が後ろに置かれた理由をサイバーセキュリティ系の数値に結び付ける読み方もあり得る。掲載値の状況としては、前世代からは上がっているものの、同じ表の他社列とは開きのある項目もある、というところ。製品ドキュメント上では、その2つを結ぶ記載を確認できない。
ウェイトが出るまで止まるのはダウンロードと構築で、構成の見積もりは先に進められる。前世代 GLM-5.2 をローカルで動かす場合に必要なメモリはGLM-5.2をローカルで動かすのに必要なメモリで扱っている。5.3 は同じベースとされているものの、その見積もりが当てはまるかを確かめられるのは公開後。
契約したあとにつまずく点
契約後はキーと接続先で手が止まりやすい。
API キーの発行場所はプランで分かれる。個人プランなら Individual Coding Plan の Plan Overview、チームプランなら Team Coding Plan の My Plan。チームプランのキーは他の Z.AI の API キーと互換性がない。Claude Code の手順ページ自体は Z.AI Open Platform でのキー作成と書いているが、クイックスタートはプラン別の発行場所を指定していて、公式内で案内が割れている。Team 契約で Open Platform 側のキーを使うと、プランのクォータが引かれないまま 1113 Insufficient Balance の状態に落ちる。
Claude Code から使う流れは、プラン別の発行場所で作ったキーを ANTHROPIC_AUTH_TOKEN に、ANTHROPIC_BASE_URL に https://api.z.ai/api/anthropic を、API_TIMEOUT_MS に 3000000 を置いて claude を起動する、という形。公式の手順ページに env の並びがある。
Model API に掛かるプロトコル制限は、Coding Plan から対応ツール経由で繋ぐぶんには効かない。こちらは Anthropic 互換と OpenAI 互換の双方に接続経路がある。
| ツール | Coding Plan の接続先 |
|---|---|
| Claude Code / Goose | https://api.z.ai/api/anthropic |
| Codex | https://api.z.ai/api/v1 |
| その他の OpenAI 互換ツール | https://api.z.ai/api/coding/paas/v4 |
この3つは GLM-5.3 のモデルページが挙げる3プロトコル(Anthropic Message / OpenAI Response / OpenAI Chat Completion)に対応する。OpenAI 互換の接続先は2種類あり、Coding Plan 用が https://api.z.ai/api/coding/paas/v4、従量課金の Model API 用が https://api.z.ai/api/paas/v4。パスが一区切り違うだけだが別勘定で、取り違えは 1113 の原因に挙がっている項目と重なる。表記は公式内でも割れていて、API リファレンスは従量課金の汎用エンドポイントを /api/paas/v4 とする一方、GLM-5.3 のモデルページの Model API 節は OpenAI Chat Completion を /api/coding/paas/v4 と書いている。従量課金で叩くなら API リファレンス側の値になる。
モデル指定では、手順ページの完全版 JSON 例をそのまま写すと SONNET と OPUS が glm-5.2[1m] のままになる。5.3 を明示するなら最新モデル切り替えページの例のほうで、settings.json の env に CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW を 1000000、ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL を glm-4.7、ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL と ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL を glm-5.3[1m] に置く。1M コンテキストはモデル名の [1m] 接尾辞と圧縮ウィンドウの設定で有効になり、切り替わったかは claude を起動して /status で確認する。[1m] 付きの名前が認識されない場合は Claude Code 自体の更新が先。HAIKU 枠は公式の例でも glm-4.7 のまま。
Cline のような OpenAI 互換ツールでは、モデルコードとコンテキスト長を別々に入れる。対応ツール一覧ページの例は glm-5.2 基準で、API Provider に OpenAI Compatible、Base URL に https://api.z.ai/api/coding/paas/v4、Support Images のチェックは外す、Context Window Size は glm-5.2 が 1,000,000 でそれ以外は 200,000、という設定。この「それ以外」に glm-5.3 を当てはめると、前掲の100万トークンより小さい値で頭打ちになる。最新モデル切り替えページ側の Cline 例は glm-5.3 前提に更新されていて、Model は glm-5.3、Context Window Size は 1,000,000。glm-5.3 で使うなら後者の値を入れる。
API_TIMEOUT_MS が縛るのは API 呼び出し1回あたりの待ち時間で、エージェントの作業全体の長さではない。Claude Code 側の既定は600000ミリ秒(10分)、案内されている3000000ミリ秒は50分で、既定の5倍。1回の応答が長引く場合に効く値になる。
今契約するか、待つか
契約前に手を出せる範囲として、ZCode は初回利用者に5日間の無料枠を付けている。GLM-5.3 に1日300万トークン、GLM-5-Turbo に1日200万トークン、合計で1日500万トークン。枠はモデル別に切られていて、1つの共有プールではない。支払いは不要で、この枠は5日で失効し、以後の常設枠にはならない。
状況別に整理すると次のようになる。複数行に当てはまる場合は、いちばん条件の厳しい行が予定を決める。
| 状況 | 取れる手 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 対応ツールで日常のコーディングをしている | 今契約して使える | 接続設定だけでは足りずモデル指定が要る。Claude Code なら glm-5.3[1m] を置いて /status で確認、OpenAI 互換ツールはモデルコードとコンテキスト長を別々に入れる |
| Claude Pro / Max を払っていて置き換えを検討している | 対応ツールはそのままでキーと接続先を差し替えられる。ピーク帯を外せるかで消費が倍近く変わるので、走らせる時間帯から確かめる | 精度の比較相手も変わる。Code Bench の掲載値で GLM-5.3 を上回る Fable 5 は Claude Max 側なら週次枠の50%まで使えるが、Claude Pro からは追加の支払いが要る |
| 既に別のコーディング定額を払っていて上乗せを迷う | ZCode の初回5日間の無料枠か、Model API にトークン単価で流して測る | 無料枠は5日で消える。上乗せは定価どうしなら Lite の18ドルからで、総額が下がるかは今払っている契約による |
| 費用を下げたい | 実タスクの各トークン量と、走らせる時間帯を測ってから決める(オフピークならモデル利用分は半額) | 入口の月額は定価どうしなら Claude Pro 20ドルと Lite 18ドルでほぼ横並び。下げ幅が出るのは月100ドルからの Claude Max 帯から GLM の Pro 80ドルへ動く場合か、ピーク帯を外してオフピークに寄せられる場合 |
| 自作スクリプトから叩きたい | Model API で今すぐ使える。接続先は https://api.z.ai/api/paas/v4 | プランの枠は対応ツールの外から叩けず、Model API は別勘定になる。過去に Coding Plan を契約したアカウントは、OpenAI Chat Completion 互換のプロトコルだけで組むことになる |
| 画像をモデルに読ませたい | GLM-5.3 本体はテキスト入力のみ。Vision Understanding MCP(GLM-4.6V)が全プランに付くので、画像はそちらか別モデルへ回す | Vision MCP は回数ではなくトークン係数(1.2 / 0.3 / 2.7)で計算される |
| 社外にコードを出せない | 契約して使う道は取れない。自前運用の道はウェイト公開後に残る | 確定日は示されていない。8月末は報道のローンチ日(2026年8月14日)起点の目安で、リリースノートの日付(2026-08-18)を起点に取れば9月頭にずれる |
まとめ
同じ月額帯で並べると、Claude Pro の20ドルと GLM Coding Plan の Lite の18ドルは定価どうしでほぼ横並びになる。差が付くのは消費の読み方で、GLM 側は計算式と係数と枠が公開されているぶん、手元のタスクを何本ぶんと見積もれる。その代わり Z.ai の自社ベンチである Code Bench の掲載値では、GLM-5.3 はフロンティアの一段下にとどまる。この2つを1つの天秤に載せると読み違える。価格の比較相手は Claude Pro、精度の比較相手は Fable 5 で、別々の組み合わせになっている。価格が近いことは同じだけ回せることを意味しないし、手元の実タスクのトークン量が分からなければ、公開されている式も数字にならない。
待ちは2つ残っている。日付がまったく読めないのはウェイトのほう。Model API のプロトコル制限も、今後の更新で改善するとあるだけで時期は示されていない。ここに挙げた価格とベンチマークの数値は2026年8月18日、Model API の提供状況と従量課金の価格表は2026年8月19日に各公式ドキュメントで確認した時点のもの。
よくある質問
手元で立てた MCP サーバーを繋いだ場合、クレジットはどう減るか
回数で課金されるのは Z.ai が同梱している Web Search・Web Reader・Zread の3つで、手元で立てた MCP サーバーの呼び出しを回数で課金するという記載はない。ただし、ツールが返した内容は次のリクエストの入力トークンとして計算式に乗る。GLM-5.3 の入力係数は6.9なので、返り値の大きいツールを何度も呼べば入力側から枠が減っていく。
契約前に、手元のタスクが何クレジットになるかを測れるか
経路は2つある。ZCode の初回5日間の無料枠を使う形と、Model API にトークン単価で流す形。後者は普段使っているツールからそのまま叩けるので、トークンの積み方が本番に近い。OpenAI 互換のツールなら接続先は https://api.z.ai/api/paas/v4、Anthropic 互換でしか繋がないツールの場合は、アカウント別のプロトコル制限に当たらないかを先に確かめることになる。無料枠のほうは ZCode から流す形になるので、普段使っているツールでのトークンの積み方までは再現できない。
残高があるのに 1113 Insufficient Balance が出る
FAQ が原因として挙げているのは3点。サポート対象外のツールやシナリオで使った場合、接続先を取り違えた場合、そして GLM-5.3 / GLM-5-Turbo / GLM-4.7 の3モデル以外を指定した場合。GLM-5.2 と GLM-5.1 の名指しは自動振替の対象なので、この3つの外には当たらない。残高そのものより先に、経路とモデル指定を見る表示だといえる。
参考資料
- Z.AI 開発者ドキュメント GLM-5.3 概要
- Z.AI 開発者ドキュメント GLM-5.2 概要
- Z.AI 従量課金の価格一覧
- Z.AI GLM Coding Plan 概要(クレジット計算式・ピーク時間帯)
- Z.AI GLM Coding Plan クイックスタート(対応プロトコル)
- Z.AI GLM Coding Plan を Claude Code から使う手順
- Z.AI GLM Coding Plan FAQ
- ZCode 公式ページ(プラン価格)
- Hugging Face zai-org 公開モデル一覧
- The Decoder: Zhipu AI releases GLM-5.3
- Z.AI Claude Code で最新モデルへ切り替える手順
- ZCode ドキュメント(初回5日間の無料枠)
- Z.AI GLM Coding Plan 対応ツール一覧
- Anthropic 公式 モデル別 API 価格
- Claude 公式 プラン価格
- Anthropic ヘルプ Max プランの利用上限
- Anthropic ヘルプ 利用上限の考え方
- Anthropic ヘルプ プラン別の Fable 5 の扱い
- Anthropic 開発者ドキュメント effort
- Z.AI GLM Coding Plan Team Plan の利用上限
- Z.AI API リファレンス(従量課金のエンドポイント)
- Z.AI リリースノート
- Anthropic ヘルプ 有料プランの usage credits の管理
Codex に GLM Coding Plan を挿す設定そのものは、Codex で GLM Coding Plan を使うで扱っている。config.toml と models.json の書き方と、wire_api に chat を書いた古い手順が起動時に拒否される理由をまとめた。

